第88回関東大学バスケットボールリーグ戦が今月1日に開幕。昨年度、2部降格の憂き目にあった慶大は昇格を目標に、東洋大との開幕戦に快勝、好スタートを切った。だが、お家芸である堅守速攻がその後思うように出し切れず、開幕6戦を終えて2勝4敗と、早くも暗雲が立ち込めた。(小林知弘・森俊貴)

東洋大戦 ○82-69
ゴール下制し 開幕勝利

秋のリーグ開幕戦となった東洋大との一戦。1部復帰を目指す慶大は82―69で勝利し、開幕ダッシュに成功した。
真木(環1)の3Pシュートで幸先よく始まった前半。第1Qは17―16、第2Qは19―17と、得点は少ないながらも両校ともに競った展開で試合は進み、36―33で前半を終える。
後半、大元(環1)の活躍で、慶大の攻撃に一気に火がつく。第3Qの慶大の得点27点中の16点を大元が奪い、このQを終えて63―55と、東洋大に8点差をつける。
試合全体を振り返ってもリバウンドの数で東洋大の17回に対して、34回とゴール下での強さを発揮した慶大は、第4Qの終盤にもオフェンスリバウンドからの攻撃で圧倒し、82―69で東洋大に勝利した。

法大戦 ●70-72
フリースロー壊滅 入替戦権利なし

「(われわれに)入れ替え戦に出る権利がない」と佐々木HCは重く試合を振り返った。1部昇格を目指す慶大にとって、前日に続く連勝を狙いたい法大戦であったが、終盤に逆転され、70―72の手痛い敗戦となった。
前半、ディフェンスリバウンドをしっかり拾うなど守備面が安定する。攻撃においても、伊藤(環2)を起点とした速攻がさえわたり、ペースを握る。だが、それとは裏腹に前半終了時で41―33と法大を離しきれない。大元(環1)がフリースローを3本連続で外すなど、確実に決めたいところでのミスが目立った。
後半に入ると、前半は鳴りを潜めていた法大の離れた位置からのシュートが決まり出す。第3Qで3Pシュートを3本も決められ、57―58と一気に逆転を許してしまう。
第4Qに入り、権田(政2)のバスケットカウントで息を吹き返したかに見えたが、「あれだけフリースローを外してはだめだ」(佐々木HC)と、勝負どころを逃し、流れを悪くしてしまう。18本あったうちの計7本フリースローを外した慶大は、2点差の70―72で負け、小さな得点の重みを受け止める結果となった。

関学大戦 ●73-76
終了間際に悲劇 接戦落とす

1部昇格に向けて、連敗は避けたかった慶大。しかし、関学大の終了間際の劇的な勝ち越しゴールで、73―76と接戦を落とした。
2㍍の大型センター、プィを擁する関学大。慶大はプィをダブルチームで抑えることに成功するが、マークが甘くなった他の選手に得点を重ねられる。前半は関学大ペースで試合が進み、37―44で前半を終える。
後半第3Qに入ると、福元(環1)のスティールからの速攻などで、徐々に点差を詰めていく。大元(環1)のシュートで逆転し、60―56で第4Qを迎える。
第4Qの終盤、試合終了まで残り1分半から両者譲らないシュートの応戦に。関学大の逆転を許してから、両チームのリードが二度も入れ替わる展開。その緊迫した試合の中、71―73の2点差、試合時間残り5秒で得たフリースローを、「接戦こそ楽しくやろうと考えた」と話す伊藤(環2)が2本とも成功し73―73の同点に持ち込む。
しかし、試合終了のブザーと同時に放った関学大のシュートが決まり、73―76と劇的な幕切れで試合は終わった。慶大は接戦を落とし、痛い連敗となった。

順大戦 ○106-86
守備から速攻 連敗脱出

連敗が続き、入れ替え戦出場に向けてなんとしても勝っておきたい順大戦。慶大は106―86で順大に快勝し、連敗を止めた。
慶大は序盤、リーグ開幕時からの課題であったイージーシュートをしっかりと決めていき、第1Qを33―18と15点差で終える。
流れをつかんだ慶大は第2Q後半から積極的にオールコートでプレスをかける。スティールが増え、着実に点を重ねた慶大は前半を57―37とさらにリードを広げて折り返す。
だが、後半に入ると慶大の勢いが一時停滞する。開始から3分以上も得点できない苦しい時間が続いた。だが、「苦しい時こそディフェンスを頑張る」と前日語った伊藤(環2)を中心に堅い守備から勢いを取り戻し、第3Qを73―56で終える。
第4Qも、慶大はオールコートで激しいプレスをかけ、スティールから得点を重ねる。対する順大もドリブルを軸にシュートを決めていく。互いに激しい点の取り合いになったが、序盤からの得点差を保った慶大が、106―86で順大を下した。
大量得点で勝利したことについて、「前半に決めなくてはいけないシュートを決めることができたから、こういう試合ができた」と佐々木HCは話した。

スティールなど守備で活躍した福元

神大戦 ●83-100
オールコートプレス裏目に 終盤に失速

リーグ4戦を終えて、2勝2敗と苦しい戦いが続く慶大。5戦目となる神大戦は、試合終盤に相手に押し込まれ、83―100で敗北した。
慶大は試合開始直後から、前節の順大戦でも見せたオールコートの守備で相手にプレッシャーをかける。積極的な守備から相手のパスを奪い、権田(政2)や真木(環1)が慶大らしい速攻を見せる。しかし、速攻の場面で何度もシュートミスし、手に入れたチャンスを逃す場面が目立つ。前半は、順大のシュートがなかなか決まらなかったこともあり、38―46と大きな点差がつくことなく終わる。
後半に入ると、大元(環1)が得点を量産。後半だけで3Pシュート3本を含む20得点をあげ、逆転を狙う慶大をけん引する。伊藤(環2)もスティールからの速攻で後輩のプレーに応え、第3Q終了時で65―67の2点差にまで詰め寄る。
しかし、体力面での負担の大きいオールコートの守備を試合開始時からしていたためか、第4Qに入ると慶大の足が止まり出す。開始から約3分半にわたり得点を奪えず、詰めた点差を一気に拡げられる。試合終盤は攻守ともに見せ場を全く作ることのなかった慶大。83―100と神大に3桁得点を許して大敗し、試合後の選手たちは浮かない表情だった。早くもリーグ戦3敗目となり、1部昇格にむけて早くも黄信号が点灯する敗戦となった。

国士大戦 ●71-94
攻守精彩欠き 連日の大敗

前日の重い敗戦を引きずりたくない慶大。しかし、国士大に71―94と大差をつけられ、2連敗となった。
前半、序盤から国士大にゴール下から得点を積み重ねられる。対する慶大は、伊藤(環2)がバスケットカウント、3Pシュート、スティールなどで、前半20得点をあげる活躍を見せ、チームを引っ張る。それに呼応するように、途中出場の中村(理2)がオフェンスリバウンドを量産し、両校譲らない展開にもつれこむ。第1Q終了時には22―22。第2Q終了時には40―40の棒線一方で前半は終了する。
後半に入ると、前半チームを引っ張っていた伊藤が失速する。それに引きずられるようにチームも失速し、福元(環1)が得点するまで4分間得点を決めることができなかった。ここで差を大きく広げられた慶大。その後も、シュートは決まらず、パスも奪われ攻撃のリズムが作れない。守備に関してもリバウンドが拾えず、相手の攻撃を止めることができない。終盤に福元、伊藤が3Pシュートを決めるも万事休す。前日の神大戦に引き続き、後半に攻守に精彩を欠いた慶大は71―94で連敗した。
またしても1部昇格が遠ざかった慶大。試合後の選手たちの表情も暗かった。