慶應義塾大学と大阪大学の大学院理工学研究科は、数理科学分野での大学院教育と研究の連携を目的として、今年4月から教員を相互に派遣する協定を締結し、この連携協定の調印式が1月18日、矢上キャンパス創想館において行われた。教員の相互派遣に関する協定の締結は慶應義塾としては初めての試みだという。

 今回締結された協定によると、派遣される教員は大阪大学では理学研究科数学専攻の連携講座の招聘教員として、慶應義塾大学では基礎理工学専攻の客員教員として受け入れ、双方での講義を担当する。両校は数理科学教育研究分野での大学院学生の育成を目的として、将来的には相互の学生の研究指導の実施も視野に入れているという。

 1月18日には矢上キャンパスの創想館において連携協定調印式が行われ、慶應義塾から6名、大阪大学から3名が出席した。

 式ではまず慶應義塾大学理工学研究科委員長・真壁利明教授が挨拶を行った。真壁教授はキャンパス、他大学、海外との連携、共通指導といった、今後の教育におけるグローバル化の重要性を強調し、その上で「国立大学のトップである大阪大学との連携実現を感謝している」と述べた。これに対し大阪大学理学研究科長・小谷眞一教授は「数学部門での連携の、実質的な発展を望んでいる」と挨拶を行った。その後、両教授による協定調印、小磯憲史教授(大阪大学理学研究科数学専攻長)、太田博道教授(慶應義塾大学理工学研究科基礎理工学専攻長)による覚書調印が行われ、式は終了した。

 この協定の目的は、慶應義塾大学と大阪大学の双方の教育資源を共用することにより、博士課程の学生に対する幅広い教育研究プログラムを構築することにある。次世代を担う若手研究者の自立した研究を可能にするための、開かれた教育研究環境の構築を試み、義塾は様々な教育研究機関と連携を推進してきた。その一環である今回の連携により、数理科学の分野における学生の資質向上、学術、科学技術の発展を図るという。

 また、私学国立大学法人の連携という新しい枠組みを創出することにより、国内外へ数学及び数理科学研究分野での連携教育拠点となることをアピールする狙いもあるようだ。

(富永真樹)