全国大学選手権は十二月十九日に開幕し、塾蹴球部は十二月二十六日、長居第二競技場で行われた同大戦に35―24で敗れ、準決勝進出を逃した。これによって慶大は三年連続で国立のピッチに立つことなく、大学選手権から姿を消すこととなった。

開幕初戦 日大に辛勝
十二月十九日 熊谷

【慶大36―34日大】
ついに開幕した全国大学ラグビー選手権。慶大の初戦の相手は、関東リーグ戦四位の日大。昨年は一回戦で関東学院に敗れ、早期敗退の憂き目に遭っ ただけに、今年は初戦快勝で流れに乗りたかったが、試合の方は「慶大のテンポではなかった」(高谷)の言葉通り、慶大が「何とか勝った」というものであっ た。

開始直後の1分、日大にPGから先制を許す。慶大は5分にFB小田がトライとゴールを共に決めるも、その後は拙攻を繰り返し、なかなか日大の ゴールラインを越えられない。ようやく24分にFL高谷が、37分にはLO高木がトライを決めるなど、前半を21―10とリードして折り返す。

しかし、後半は日大が巻き返しを図る。「想像以上の外国人選手の強さ」(三宅監督)が慶大のディフェンスを切り裂く。19分にはついに日大に逆 転を許すが、28分FL青貫の再逆転トライで勝負あり。しかし、最後まで日大の攻めに苦しむなど、内容的には消化不良の感が否めない試合であった。

三宅監督「日大の強さは想像以上だった。反省すべき点は多かったが勝ちを拾えた。この勝利を(26日の)同志社戦につなげたい」

後半反撃も一歩及ばず
十二月二十六日 長居第二

【慶大24―35同大】
近畿勢唯一のベスト8入りを果たした同大に、慶大蹴球部が挑んだ準々決勝。春の定期戦では慶大が接戦を制しているだけに好ゲームが期待された。

開始直後に慶大はゴールライン手前でFW勝負に出るが、ラックを押し込むことができない。逆に前半6分、同大に先制のトライを許す。その後慶大 はミスからのターンオーバーを許し、同大が得点を重ねていく。同大FB正面のキックも次々と決まり、慶大は高谷のトライのみに抑えられ30点差をつけられ 前半を折り返す。

「前を向いていけ。目を覚ませ」と三宅監督の檄を受けたタイガー軍団は、後半に入って本来の力を発揮する。7分に清野がトライを決めたのを皮切りに、相手 選手がシンビンで一人退場したこともあって慶大が猛攻を開始。同大に攻める余地を与えず、ゴール前でのFW勝負を展開する。しかしゴール手前で同大DFが 踏ん張り、あと一歩のところで再三のチャンスを阻まれる。結局35―24でノーサイド。慶大が国立行きの切符を逸した。

猪口主将「同大はFWが強く、FWで勝てれば試合に勝てると思い、そこでの勝負にこだわった。後半から自分たちのリズムが出てきたが向こうが上だった。自分たちが甘かった」

総評

蹴球部の一年が終わった。対抗戦二位、大学選手権二回戦敗退。この結果は昨年の成績を上回ったものの、早慶戦での大敗や筑波戦・同志社戦などミスからの敗 戦を含むものだった。主将の猪口も「後悔はしてないけど、良いチームどまりだった。少し物足りなさを感じる」と今年のチームを語った。

しかしBK陣は総入れ替えに近い状態の中、中浜や小田、壇上といった若手が育った。猪口が怪我で戦列を離れたときも一年生の金井が穴を埋めた。 同じく一年生ながらSOを務めた山田は「(同大戦は)悔やんでも悔やみきれないが、全てを出せた。まだ三年間もあるので、今年を越えるように自分自身を大 きく成長させたい」とずでに来年を見据えている。

猪口の言葉にもあったように今年のチームは「良いチーム」だった。猪口を中心に部員が非常にまとまり、勝負にかける執念が見られた。引退する四年生は後輩へのエールを送った。

「四年間は早かった。四年生になって引っ張る立場になり大変だったが、良い仲間に恵まれた。試合に出られない上級生もいたけど、その人達のおかげでやってこれた。下級生にも感謝したい。(後輩に対して)来年は目標を達成するまで頑張ってほしい」(猪口)

「(蹴球部で)人間的に成長できた。良い仲間に巡り合うことができ、今年のチームは一番良いチームだった。(後輩に対して)自分に勝たないとだめ。自分達の中で納得できるまで努力してほしい」(岡)