ラグビーの第45回日本選手権が2月23日から3月16日まで秩父宮ラグビー場などで開催された。大学選手権で準優勝した蹴球部は1回戦で近鉄ライナーズと対戦したが、14—45で敗れた。大学勢では早大が2回戦に進出した。大会は、三洋電機ワイルドナイツがサントリーサンゴリアスを破り、初優勝した。

 慶大は主将の金井(商4)に加えCTBの中浜(環4)副将、増田(環1)を欠き、戦力的に厳しい状況で試合に臨んだ。相手の近鉄は来季からのトップリーグ昇格を決めて勢いに乗る相手。侍バツベイら日本代表クラスの選手も出場し、試合前はかなりの苦戦が予想された。

 しかし、予想に反して慶大は試合開始直後から健闘した。伝統の低いタックルで近鉄を苦しめ、ミスを誘った。12分、30分に近鉄にトライを許し先手を奪われるが、それぞれ4分後に浜本将(政4)、皆良田(環3)のトライで追いついた。「前半はあれ以上の出来はなかった」と林監督が振り返ったように、14—14の同点で前半を折り返した。

 前半の戦いぶりから後半の戦いも期待されたが、近鉄が精度を上げてきた上に前半飛ばした疲れが出てきたか、精度を欠くプレーが多く見られるようになった。11分までに3トライを奪われて突き放された後は、侍バツベイに60㍍独走トライを許すなど、完全に近鉄の選手を止めることができなくなった。結局31点差をつけられノーサイド。大学選手権から快進撃を続けてきた今年度の蹴球部の戦いが終わった。

 試合後、林監督は「テスト休みがあった中選手達はよく戦った」と語った。近鉄の大隈主将が「慶應の選手は気持ちが入って、タックルにやられた。次の試合は慶應のように熱い気持ちでやりたい」、中谷監督も「スピード、タックルに予想以上に苦しめられた。慶應の魂を感じた」と称えた。

 対抗戦初戦の筑波大に完敗し、今季の戦いが不安視された蹴球部は、社会人の強豪を苦しめ、慶大ラグビーの復活を印象付けるほど躍進し、1年間の戦いを終えた。

▼ゲームキャプテンを務めた千葉(総4)「1年間課題であった低いタックルでボールを早く動かすことを目指した。前半は出来たが後半は徹底できなかった」
▼4年間チームを牽引した山田(総4)「すごく充実した時間を過ごすことができた。4年間やりきったと感じる」