上位浮上へのきっかけをつかめずにいた慶大だったが、第6節の流経大戦で引き分けると、続く明大、順大に勝利し、2連勝を飾る。その後の第9節で早大に敗れ、リーグ8位にとどまる結果となった。(樫村拓真・小林知弘)
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流経大戦 △1ー1
敗色ムード一掃 終盤に同点
GW連戦の締めくくりとなる流経大戦。「絶対負けられない、と気持ちを入れて試合に臨んだ」と話すMF磨見(文2)の終了間際の同点弾で、流経大と引き分けた。
前半、慶大は積極的にシュートを狙っていくが、強風の影響もあり、ボールを思うように運べない。終盤は何度もピンチを招き、42分にはゴールを許すが、オフサイドの判定に救われ、前半を0―0で乗り切る。
後半開始早々から守備の緩みをつかれる。だが、GK峯(法2)がゴールを死守する。 赤木(経4)、山浦公(商4)といった攻撃的な選手を投入した直後の19分、「球際が甘かったね」(須田監督)と、ゴール前の混戦から先制点を決められる。
だがここから、須田監督お墨付きのあきらめない姿勢を見せる。MF近藤(総1)のミドルシュートなどで同点機をうかがう。決定機を作れたのはロスタイム。DF保田(法2)のヘディングのこぼれ球を、磨見が押し込む。劇的な幕切れで、1―1の引き分けに終わった。 前節の日体大戦に続き、敗色濃厚ムードから引き分けた慶大。「90分間、終盤のようなプレーをできるようにしないと」と、須田監督の表情はさえなかった。
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明大戦 ○3―2
近藤3発 逃げ切り勝利
リーグ戦いまだ一勝の慶大は、昨年インカレ準優勝の明大と対戦。FW近藤(総1)がハットトリックの活躍を見せ、3―2で接戦を制した。
慶大は、「マークを徹底し、プレスをかけてボールを奪いに行く」(須田監督)という意識を持ち試合に臨む。前半4分にはFW平戸(法2)のプレスからボールを奪い、ゴール前でパスを受けた近藤が決め先制。さらに27分、カウンター攻撃からFW近藤がゴールネットを揺らし、明大を突き放す。
このまま圧倒したい慶大だったが、37分にPKを決められ1点差に追いつかれる。しかし前半終了間際に、またも近藤がゴールを決め、3―1で試合を折り返す。
後半は、お互い譲らない攻防を繰り広げる。後半29分には失点を喫し、さらに、ディフェンスの要である松岡(商4)の負傷退場など厳しい戦いを強いられたが、慶大イレブンは最後まで守り抜き接戦を制した。
試合後須田監督は「チーム一体となって守り抜いたことは自信にしてほしい」とコメント。また、ハットトリックの近藤は「チームの勝利に貢献できてよかった。次の試合も気持ちを新たに臨みたい」と語った。
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順大戦 ○3―2
増田が逆転弾 初の連勝
今季初めての連勝を狙う順大戦。慶大は2点のビハインドをMF増田(環2)のゴールなどでひっくり返し、3―2で逆転勝利した。 前半、「練習でやろうとしていることを全くしようとしていない」と須田監督が話すように、慶大は雑なプレーが目立つ。パスミスなどを狙われた慶大は、両サイドから攻め込まれ、27分、33分と立て続けに失点。
後半に入っても、慶大は得意のパスサッカーが出せない。「走る量を増やしたい」(須田監督)という慶大は、FW赤木(経4)、FW森田(経4)を投入し、2トップに布陣を変更。この采配が当たり、縦への展開からチャンスを作る。29分に赤木のシュートが相手のオウンゴールを誘い1点目。続く34分には、CKを主将のMF藤田(政4)がダイビングヘッドで合わせ同点に追いつく。 同点で迎えた後半ロスタイムに、MF松下(総3)からのパスに反応した増田の「無心で放った」というシュートが、順大ゴールに突き刺さる。これが決勝点となり慶大は順大に劇的な逆転勝利を収めた。
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早大戦 ●1―2
終盤に失点 地力の差出る
前節の勝利の勢いそのままに臨んだ早大戦。接戦となったが1―2で敗北した。
「いつもと同じ戦い方をする」(藤田主将)という意識で試合に臨んだ慶大イレブン。意識の統一はなされていたというが、開始直後にCKから失点を喫し、出鼻をくじかれる。一点を追う慶大は、長短のパスを織り交ぜた攻撃で好機をうかがう。左サイドのMF松下(総3)が右サイドのMF磨見(文2)へとつなぐ。さらに磨見がゴール前にパスを送ると、走り込んだFW近藤(総1)が決め同点に追いつく。
後半、ピンチを迎える場面もあったが、積極的にシュートを放ち追加点を狙う。だが、決定機が生まれない。
終盤まで1―1の膠着状態が続いたが、終了間際の43分、早大にクロスからヘディングを決められ、勝ち越しを許す。これが決勝点となり、定期戦でのリベンジを誓う結果となった。
敗戦を受け須田監督は「相手の実力が上だった。我々のサッカーをやろうとしていた点は評価したい」と分析した。