春三連覇を懸けて春季リーグ戦に臨んだ慶大だったが、初戦の法大戦で勝ち点を落とし、立大戦でも2連敗を喫し優勝は絶望的に。早大の優勝が決まった中での早慶戦では意地を見せ、早大に唯一泥を付けた。 (野球取材班)
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立大第1戦
投打振るわず 完封負け
優勝には勝ち点を落とさないことが絶対条件の立大戦。慶大は第1戦で0―6の敗北を喫した。 先発は竹内大(環4)。立ち上がりを攻められ、初回に2失点を喫す。その後も安打を許し、4回まで4失点で降板する。続く只野(商4)、竹林(商3)も5回に本塁打、8回に適時二塁打を打たれるなど、踏ん張りきれず立大打線を止められない。投手陣は8回まで被安打13で6失点と苦戦を強いられた。
投手を援護したい打線も立大先発の小室の投球を捉えられず、三者凡退や併殺が続く。3回には遊安で出塁した阿加多(法4)が盗塁を成功させ意地を見せるも、後が続かず1点が遠い。慶大打線はこの試合散発3安打と1度も三塁を踏めないまま小室に完封負けを喫した。
この試合、ベンチは代打3回、内野手2回、外野手2回、捕手1回、そして投手2回と選手を次々と交代させ、流れを変えようとしたが、立大の勢いを最後まで止められずに試合終了を迎えた。
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立大第2戦
粘り切れず 接戦落とす
第1戦を落とし、後がない慶大。守護神として防御率1・06(同試合時)の安定感を誇る福谷(理4)を先発に起用したが、2―3で競り負け、勝ち点を落とした。
福谷は立大打線に立ち上がりから出塁を許す。3回、安打と盗塁で迎えた二死二塁のピンチに適時打を打たれ先制点を献上する。 その裏に一死満塁と同点、逆転の好機を作るも4番山﨑錬(商4)が凡退で得点ならず。
嫌な流れになったが、4回裏に先発の福谷が自らのバットで逆転。安打と敵失で作った好機に右中間を深々と破る2点適時三塁打を放った。
だが、その直後に同点とされ踏ん張ることができない。結局福谷は6回を被安打9、2失点の投球で降板。
マウンドを継いだのは前日先発し、4失点の竹内大(環4)。代わり端に連打で一死一、三塁とし、次打者の内野ゴロで併殺崩れの間に1点を失い、再びリードを許す。
代打、代走を起用するなどして、万策を尽くした慶大だったが、立大の継投の前に打線が沈黙し試合終了。
同週の早明戦で勝利した早大が優勝を決定し、早慶戦を前に早大に優勝を譲る結果となった。
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早大第1戦
延長戦制す 意地の先勝
早大の優勝が決まった中の早慶戦第1戦。慶大は延長10回、3時間26分の激闘を5―3で制した。
試合は初回から動いた。1番福富(商4)が初球を慶大側の左スタンドに運び、1点を先制する。対する早大も先頭打者を堅実に送り満塁とし、同点を狙う。先発の福谷(理4)はこの危機を乗り切り、8回まで0点に抑える。
5回、慶大は死球で出塁した後、早大の失策、四球などに助けられ、1点を追加。7回にも横尾(総1)のソロ本塁打で早大を引き離す。
慶大の一方的な試合になるかと思われた9回、1点を取られた福谷は降板。続く竹内大(環4)が一死満塁から安打を許し、同点とされるが、逆転のランナーを阿加多(法4)が体で止め、サヨナラを防ぐ。
土壇場で追いつかれた慶大は延長10回、阿加多、代打の渡邉暁(商3)が連続で三塁打を放ち勝ち越し、続く佐藤旭(商2)も安打を打ち、2点をあげる。慶大はその後早大の反撃を許さず、試合終了を迎えた。
優勝は早大に譲ったが、伝統の一戦で意地を見せた。
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早大第2戦
逆転許し 勝敗五分に
先勝して迎えた早大第2戦は、主将の一打で先制するも早大の反撃を止められず2ケタ失点の大敗。4―11で敗れ、勝ち点の行方は第3戦へ持ち越された。
初回、慶大は佐藤旭(商2)、横尾(総1)が四球を選び、さらに佐藤旭が三盗を決め一死一、三塁のチャンスをつくる。ここで4番の山﨑錬(商4)が適時打を放ち、慶大が1点を先制する。
1回を三者凡退に抑えた今季初先発の山形(政3)であったが先制直後の2回、先頭の杉山にソロ本塁打を打たれ、試合は振り出しに。
4回表、山形は四球で出した走者を犠打などで三塁に進められると、暴投で逆転を許す。ここで只野(商4)がマウンドにあがるが二死満塁のピンチを作ると中村に左翼に満塁本塁打を打たれ、1―6とリードを広げられる。
只野に代わった竹林(商4)も7回高橋に2ラン本塁打を打たれるなど早大の流れを止められない。慶大は7回裏、佐藤旭の適時打などで2点を返すが、8、9回にそれぞれ2点、1点を取られ、点差が縮まらない。
9回裏二死一、二塁から横尾が意地の適時打を放つも反撃はここまで。慶大は大敗を喫し、早慶戦は1勝1敗の五分になった。
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早大第3戦
継投逃げ切り 完全優勝を阻止
第2戦を落とし、1勝1敗に追いつかれて迎えた早大第3戦。慶大は序盤に得たリードを、竹内大(環4)、福谷(理4)の継投リレーで守り切って4―2で競り勝ち、早大から昨春以来の勝ち点を挙げた。
初回、慶大は先頭の佐藤旭(商2)が四球で出塁すると、続く2番福富(商4)が初球をレフト線に運び先制。3回に追いつかれるも、4回に無死満塁のチャンスを作り、6番渡邉暁(商3)の右前適時打で勝ち越し。続く谷田(商1)にも2点適時打が飛び出し3点差とする。
先発の竹内大は2回以降毎回のように得点圏にランナーを背負うものの、5回までを1失点で切り抜ける。6回からは守護神の福谷が登板。8回に1失点し、9回も2死から連続四球でピンチを迎えたが、早大の地引を右直に打ち取り、ゲームセット。 早大戦で今春のリーグ戦の全日程が終了。慶大はこの試合に勝利したことで明大を抜いて3位となった。
捕手の阿加多(法4)が首位打者を獲得し、遊撃手の福富がベストナインに輝いた。 主将の山﨑錬(商4)は今季を振り返って、「1つ負けて立て直せずにずるずる行ってしまったことが課題。今季はたくさんの経験を積むことができたので、一回りも二回りも大きくなって来季に臨みたい」と語った。