拘束時間が短く、比較的高収入を得ることができる家庭教師。忙しい日々を過ごす大学生にとって魅力的なアルバイトだ。
高時給に目を奪われがちな家庭教師だが、ほかに得られるものはないのだろうか。「家庭教師のマスター」を運営するマスターシップスの斉藤翔太さんにお話を伺った。
斉藤さんは、家庭教師をすることで自身の計画性が養われ、管理能力が磨かれると語る。担当する生徒によって習熟度や理解度はさまざまだが、家庭教師は一人ひとりに対応するため生徒と二人三脚で学習計画を立てる。しかし、立てた計画もその通りに進まないければその都度、軌道修正していかなければならない。「生徒の目標達成のために、長期的な視野を持って計画を立てる。一方で生徒のペースを把握しつつ、臨機応変に適切な指導を行う。こういった過程の中で、計画力や管理能力が身に付くのです」と斉藤さんは説明する。
さらに、家庭教師は単に勉強を教えていればよい、というわけではない。塾や予備校にはできない、本当に親身になっての指導が求められている。「生徒の中には親に言えない悩みを抱えている子もいる。そういった生徒の相談に乗ってあげることも、家庭教師の重要な役目であり、やりがいでもある」と斉藤さん。
そのために重要なのは信頼関係だと斉藤さんは付け加える。「生徒を勇気づけるために有効なのは、自身の挫折経験を話すことですね」とアドバイスもいただいた。
「不登校気味だった生徒が学校へ行ってくれた時は、本当にうれしかったですね」と笑顔で語るのは、家庭教師のマスターで講師としてアルバイトをする為田早織さん(商3)。生徒を受け持った当初は、どうして不登校になってしまうのか全く見当もつかなかったという。「でも生徒に親身に接することで、その子が極度の恥ずかしがり屋で、ミスを過度に恐れていることに気がついたんです。『ミスを恐れなくていいよ』と生徒に安心感を与え続けた結果、生徒は少しずつ学校へ通うようになってくれました」
さまざまなスキルが身に付き、やりがいもある家庭教師アルバイト。将来教育系の仕事を志望する学生はもちろんのこと、今アルバイトを探している人は、選択肢の1つとして検討してみてはいかがだろうか。 (大塚直人)