履修が一通り決まり、授業にも慣れ始める五月。時間の使い方を見直すことができるこの時期、「カフェで美味しい一杯を飲みながら楽しむ読書」をおすすめしたい。ここではカフェと読書を両方楽しむことができるお店を紹介する。

まず伺ったのは、芝公園駅を降りてすぐのULALA Caféさん。ちょうど今年で開店11年目を迎えるこのカフェには、大きなウォールアートがあり、壁には海外の写真も飾られている。店内の様子を眺めているだけでも楽しい。 スタッフの片桐さんは、カフェのスタイルについて「お客様が、くつろいでいただけるカフェでありたい」とほほ笑む。 さまざまな人が思い思いの事をして過ごす、ゆったりとした時間が流れるこのカフェは読書をするのにも、居心地がいい。

また、このお店のスタッフである慶大文学部2年の落合佑太さんも、自身がカフェでの読書を楽しんでいる学生の一人だ。「本は一カ月に10―20冊くらい読みます。カフェで文庫本を開くことも多いし、電車内では、スマートフォンを利用してkindleなどの電子書籍を読んだり、場面に応じて使い分けています」と、自分なりの読書スタイルを話してくれた。自身もカフェをよく利用する立場だからこそ、勤務中は丁寧な接客を心掛けているという。

ULALA Caféさんには雑誌も置いてあり、飲み物を飲みながら好きに読むことができるそうだ。また、コンセントの利用も、スタッフの方に一声かければ可能だとのこと。パソコンやタブレットを用いた課題にももってこいのカフェだ。Wi―Fiもつなぐことができるので、電子書籍を読むのも良いかもしれない。

次に紹介したいのが、渋谷古書センター2階、渋谷のFlying Booksさん。1階にある同じ系列の古書サンエーで古本を探すことも可能だ。店内は美術書や詩集、写真集やCDまで販売しており、カフェスペースが隣接している。カフェであり、本屋であり、イベントスペースでありたい。そんな思いで開かれたこのお店は、年に何度か詩集の朗読会などのイベントも行われるという、さまざまな顔を持つ場所だ。

店長の山路さんは、学生の利用についてこう語る。「学生のお客さんも少なくはないです。文学や芸術に対する知識がなくてもOK。気軽に来店してほしいと思います。店内の美術、写真や音楽の本を気の向くまま見て回ってほしい」。 山路さん自身、学生時代はカフェで読書をするのが好きだったという。「本を売るだけでなく本やコーヒーと過ごす時間も大事にしたいから、オーダーをいただいてから豆をひいています。淹れる時の香りも楽しんでほしい。フライング・ブックスを五感を使って味わっていただけたらと思います」と山路さんは笑う。

近年増えているこうした「複合型」のカフェ。何かと忙しい大学生活の合間を縫って、読書を楽しむためカフェに足を運んでみていただきたい。チェーン店とは一味違う時間が流れている。その店にしかない飲み物やこだわられた内装、読書の魅力を知るスタッフが、一冊を読むことをより豊かなものにしてくれる。自分だけのくつろぎの時間から、新しい発想も生まれるかもしれない。読書を楽しめるカフェでの時間を、毎日の忙しさをこなす糧としてみてはいかがだろうか。       (梅山紗季)