「血液型、何型?」という話題で盛り上がった経験がある人は多いのではないだろうか。
血液型性格分類は、以前から広く浸透しており、これまで多くのテレビ番組や書籍で扱われてきた。そして最近では、血液型別で性格を分類する本がシリーズ化され、ベストセラーとなっている。
しかし、日本以外の国では血液型性格分類が普及していないことをご存じだろうか。聖心女子大学専任講師の小城英子氏は、その理由をこう述べる。
「日本人は、血液型が4種類にきれいに分かれている。4種類という少ない数は、単純で特徴づけしやすい。その証拠に星座で性格分類をしないのは、12種類と数が多いから」
世界には、さらに複雑な血液型の分類がある国、また、単一の血液型しか存在しない国もあるのだという。
日本人は、A型4割、O型3割、B型2割、AB型1割。一般的にB型とAB型の性格が悪く言われやすい理由も、3割という低い分布と関係している。これは、少数派に対する明らかな差別だと小城氏は危惧する。
そもそも、なぜ血液型性格分類は強く信じられているのか。誰にでも該当するような性格を並べることで、自分だけに当てはまるように感じてしまう「バーナム効果」によるものである。例えば、一口に「真面目な性格」といっても、「真面目さ」には客観的基準がない。つまり、誰にでも当てはまってしまうのである。
心理学の世界では、かつてから血液型性格分類に関する研究がされてきた。しかし、未だに血液型と性格の関係性は証明されていない。学術的な見地では、血液型性格分類に否定的な意見がほとんどだ。
2004年、放送倫理・番組向上機構は、血液型関連番組が深刻な差別に繋がるものとして、放送各局に配慮を要した。他にも、あらゆる非科学的事柄は放送基準に抵触するが、それらを扱う番組は一向に無くならない。この現状には、倫理以上に視聴率や売上を重要視するマスコミの傾向がうかがえる。
しかし、マスコミばかりが悪いわけではない。マスコミは、情報を受け取る側のニーズを反映しているとも言える。
「血液型や占いで人や物事を判断したがる人には、不安を抱えている人が多い。自力で問題を解決しようとしない姿勢の表れ」と小城氏は言う。
「楽しいから」と、単なる娯楽として捉えている人でも、いつしか自己判断能力を失うほどの重い依存に繋がる可能性は十分にある。
科学的根拠がないものは、本質を見つめることを忘れさせる。たった4種類の血液型で判断できるほど、人の性格は単純では
ないはずだ。
(永澤優実)