スポーツにけがはつきものだ。けがとうまく付き合うためにも正確な知識を持つ必要がある。慶應義塾大学看護医療学部教授・医学部スポーツ医学総合センター教授で体育会バスケットボール部長の大谷俊郎氏にお話を伺った。
大谷教授は「スポーツ障害はスポーツ外傷と違い、体の使い過ぎによって生じるもの。上手く付き合っていくためには正しい知識が不可欠」と話す。
正しい知識とはなにか。大谷教授は具体例として関節の柔軟性を挙げ、「スポーツをする人の多くは、関節は柔らかいほど良いと思っているが、関節によっては柔らかすぎると、骨同士をしっかり固定できない。それが膝関節などの故障を招く」と指摘した。
また、「運動の頻度によっても対処法はことなる」と述べる。例えば、久々に運動をした人がスポーツ障害を発症した場合、ただ休むのではなく、基礎体力をつけるトレーニングが必要になる。
スポーツ障害をこじらせると2度とスポーツができなくなるなど、誤った認識は選手生命を変えることもあり得る。どうすればそうした誤りを防げるのか。大谷教授は「慶應義塾体育会では独自にセルフケアシステムを導入している。これは、さまざまな観点からスポーツに関する知識を提供するシステム。各部から参加者は出るものの、その知識がなかなか他の部員にフィードバックされない。トレーナーなどの代表者を参加させ、皆で知識を共有してほしい」と願いを語った。
長く運動をするためにも、スポーツ障害について深く考えてみるのは重要なことだろう。
(樫村拓真)