春の新生活をきっかけに、アルバイトを探す学生もいるのではないだろうか。
大学生のアルバイトと聞いて何を想像するだろう。家庭教師や塾講師、あるいは喫茶店で働く姿といったところだろうか。しかし少し変わったアルバイトをしている大学生も存在する。今回は、3人の塾生にお話を伺った。
オリックスレンタカーでアルバイトをしている中田章裕さん(文3)。彼は最寄り駅の近くでできる仕事を探していたところ、インターネットの募集欄でこのアルバイトを見つけた。普段から車の運転が趣味で、さまざまな車種に乗ることができると魅力を感じ、このアルバイトに応募。仕事内容は、他店との間の自動車の移動・回収が基本だそう。そのため、「アルバイトをしながら遠征でき、小旅行気分を味わえるのが楽しい」と語る。だがその一方で、「お客様や会社を相手に車の受け渡しや交渉もするのでアルバイトとはいっても責任がある」と、レンタカー会社ならではの大変さもあるという。ただ、「このアルバイトをしているとその場に応じて柔軟に対応するスキルが磨かれると思う」と話した。楽しみつつも重要な経験となっているそうだ。
同じく好きなことをアルバイトに生かしているのはコンサートホールでレセプショニストをしているK・Sさん(法3女)。彼女はオーケストラサークルに所属しており、オーケストラ・クラシック音楽好き。彼女もまたインターネットで募集を知り応募した。仕事はチケットもぎり、クローク預かり、場内の案内など。公演内容や時間帯によって臨機応変に動かなければいけないことが大変だが、だからこそ学べることも多い。コンサートがどのように成り立っているかを知れたり、その日のポジションによっては場内で待機しているので演奏を聴くこともできる。「幅広い年齢の人が働いているので、アルバイトではあるもののその人たちから教えてもらいながら日々成長できる」と、魅力を語った。
3人目は、アルバイトとしてITベンチャー電話営業を行なっている平本賢文さん(文3)。7年間の寮生活で培った喋りの能力を生かしたいと考え、会社に自ら乗り込み電話掛けをさせてほしいと願い出た。業務内容は、インターネット上の広告枠を買ってもらうために企業に電話を掛けるというもの。企業同士を繋げる最前線であり、責任があるため、アルバイトという意識はあまりない。「サービスを買ってもらうだけでなく、会社の顔として信頼を築き上げることも営業の使命だ」と話す。喋りが得意な平本さんだが、初めのうちはうまくいかなかった。今まで電話営業の経験がない会社だったため業務内容も方法も皆無の状態からのスタートだったからだ。そこで営業に関する本をあさり、独自に電話掛けの技術や方法などを習得。現在はかなり成果も出てきた。「将来自分が目の当たりするだろう社会の現実を学ばせられる。どうしたらお客様や会社の人の期待に応えられるかを学び、また『相手に寄り添う』ことが一番重要なことだとも学んだ」と、アルバイトが貴重な体験となっていることを示してくれた。
それぞれ職種は異なるものの共通することは、アルバイトが単なる「お小遣い稼ぎ」にとどまらず、何らかの形で精神的な財産へと還元されている点だろう。アルバイトをひとつの「学びの場」と考え、自身を成長させるため、社会に出るための「ステップ」として、あるいは楽しみを見つける「場」として生かしてみるのもよいかもしれない。
(清水咲菜)