今月4日、慶應義塾大学南校舎ホールにて慶應義塾大学経済学部シンポジウム「社会保障と税の一体改革について」が行われた。清家篤塾長の挨拶から始まり、政府講演として野田佳彦首相が登壇した。
野田首相は社会保障の改革を先送りにしていたことに危機を感じ、本政策を打ち出したという。「社会保障は若い人には身近に感じられないものであるが、われわれの暮らし、そして経済全体を支える、なくてはならないものである」ことを伝えた。
その上で、社会保障の基盤は人口構成の変化、経済問題、貧困の3つの要因により揺らいでいるとした。
人口の変化については、「現在の日本は(生産年齢人口の)3人が1人の老人を支えている状態だが、今の若い人たちが高齢者になる時は1人が1人を支える時代になっていく」と述べた。
経済に関しては「昭和30年代に国民皆年金、国民皆保障という社会保障制度の根幹ができた頃は毎年10%経済が成長していたが、現在は低成長である」とした。
貧困の問題はもっとも重視すべきものだとし、「単身世帯が増え、孤立化が目立っていく社会でどのような社会保障を作るかが課題である」と語った。
そこで「社会保障改革への安定の財源を確保するために『負担失くして給付なし』を原則として、消費税の増税により社会保障を改革したい」と語った。
野田首相の講演を受け、駒村康平教授、土居丈朗教授、竹中平蔵教授、峰崎直樹内閣官房参与によるパネルディスカッションが行われた。教授らはそれぞれの意見を主張し、白熱した討論となった。