基礎を固め、新シーズンへ走り出す(準硬式野球部提供)
基礎を固め、新シーズンへ走り出す(準硬式野球部提供)

六大学野球といえば春秋に神宮球場で行われる硬式野球を想像する人が多いだろう。しかし六大学野球はもう一つある。準硬式野球の六大学リーグ戦だ。今回はリーグ戦優勝を目指し、日々練習している慶應義塾体育会準硬式野球部に迫った。
準硬式野球とは硬式と軟式の中間のボールを使用した野球である。このボールは、外側は軟式球と同じ天然ゴムで、中身は硬式球と同じ素材で作られている。投げる感触は軟式球に近いが、打球やバウンドは硬式球とあまり変わらない。
準硬式野球部の練習は週に6日。活動場所は日吉台野球場で、慶應義塾高校の硬式野球部と共同で使用しているため、練習時間は高校生が授業をしている午前9時ー午後2時と制限されている。その分、全体練習以外にも朝や練習後には日々自主練やトレーニングに励む。3月末には関東大会、4月には六大学春季リーグ戦が始まる。準硬式野球部の目標は六大学リーグ戦優勝と全日本大学準硬式野球選手権大会出場。全日本出場には関東大会優勝もしくは春季リーグ戦を優勝し、予選を突破することが条件となる。
「学生主体」。それが準硬式野球部の特徴だ。練習のメニューはすべて、監督ではなく学生コーチを含めた学生同士の話し合いで決める。「すべてを自分たちで考えてやるのは難しいが、その分やりがいがある」と話すのは主将の清水慈さん(法3)。選手おのおのが主体的に考え、一丸となって戦っていくというのがチームのスタイルだ。
準硬式野球部にはセレクション制度がなく、入部に条件はない。部員は48人で高校時代みなが華やかな活躍をしてきたわけではない。軟式野球しかやっていない部員、ベンチに入ることができなかった部員も多いという。しかし準硬式野球部は、甲子園出場メンバーを集める他大学に対しても対等以上の戦いを見せている。「ポテンシャルの高いチームと大学に入ってから、いかに差を縮めるかといった部分は非常にやりがいがある」と清水さんは話す。
去年は春秋ともにリーグ戦2位。秋は1位の早大に2戦とも1点差という僅差で逆転負けを喫している。「小さな点差ではあるが、その中に地力の差を感じた」と語る主将のもと、オフシーズンは根本的なレベルアップを図るべくトレーニングにいそしんだ。
「六大学リーグ戦は、規模は小さいものの、應援指導部やOBの方々の声援からなるスタンドの一体感はすばらしい」と清水さんは話す。チーム力でひたむきに勝利を目指す彼らの来季は3月下旬の関東大会から始まる。    (稲垣遥河)