寒中一人ビーチバレーに興じるK
寒中一人ビーチバレーに興じるK

冬になって急に太りました。助けて下さい(法2女)
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「この手の依頼、ほんっと多いわね。油断して腹に肉乗ってきたとかいう女に限ってそうでもないのよ」と、所長N (政2女)は依頼を一蹴。
「そうですよね。冬だからってそんなに太りませんよ~」と肉まんを頬張りながら同意するK(文1男)。しかしKは「お前がそれを言うな」と言いたくなるようなぷよぷよのお腹の持ち主。それを見てNが怒鳴る。「それならお前が痩せてみ!報告はいらん!」
Kは試験期間中にも関わらず「作戦会議だ」と所員T(商1男)とH(経1男)を昼食に呼び出し、巻き添えを食らわせる。
ヘルシー志向で食べながら楽して痩せることを目指すKは、しぶしぶ「ざるそば」をチョイス。淡白な麺をしこたま腹に詰め込む簡単なお仕事。それにしても横でとんかつ定食を食うHが憎い。
一人、沈黙を守っていたTがKに向かって一言。「Kって夏バテで5㌔痩せたんだろ。夏みたいな生活送ってみれば?」マジすか、兄さん。
Kは帰宅するなり、家の窓を全開に。タンクトップ姿でお手製のイチゴシロップたっぷりのかき氷を頬張る。「ふぅ~鳥肌たつぅ~♪甘いもの食って太らねぇ究極のダイエット飯やな。それにしても寒いぜ。低カロリー、万歳!!」と叫んだ瞬間、向かいに住むフリースを着込んだ老人と目があった。見つめ合う二人。風鈴が悲しげに、泣いていた。
それにしてもなんかが足りへん!そう、夏には海というシュチュエーションが欠かせないよな?翌日、3人はガ○ガ○君を片手に「海の公園」へ向かった。
Kは海パン野郎に早変わり。脂肪に包まれたKのふくよかなボディが露わになる。
あわよくば、海辺でホットな恋の1つや2つ期待出来るじゃない?!そんな期待を裏切り、海岸は人っ子一人いないプライベートビーチ状態。後には引けないKは潔く入泳する。水は冷たく、水面から出た天パが風に揺れる。む、むなしい。
すると、浜辺に女子大生のランニング集団が!もちろん彼女達は、寒空の下、奇声を発しつつ平泳ぎするKにくぎ付け。女子の視線の独占に成功。調子に乗ったKは沖に出てシンクロナイズドスイミングの真似事をやってみる。足がつって溺れる。
そそくさと通り過ぎる彼女達を見送ったのち、力尽きたKは岸に漂着。生まれたての子牛のように自力で立てず、ぶるぶる震えるK。 薄れゆく意識の中Kは思った。「これから寝込んで体重は落ちるに違いない。けど明日の試験の単位も落とすな」
後日、かくして単位を落とし来日が決定したK。身も心も軽くなる日はいつになるだろう。
(つるたろー)