2009年1月10日から3月8日まで、東京国立博物館表慶館で、「未来をひらく福澤諭吉展」が開催される。それに伴い、9月10日に三田キャンパス演説館にて記者会見が行われた。出席者は東京国立博物館・佐藤禎一館長、慶應義塾大学・安西佑一郎塾長、産経新聞社・清原武彦会長、慶應義塾大学アート・センター・前田富士男所長、慶應義塾・福澤研究センター・西澤直子准教授、特別講師として評論家・佐高信氏の計6名。

 今回の展示は、福澤諭吉の思考と活動の輪の広がりを様々な資料を通し紹介する。展覧会は6つの部で構成され、福澤の生活、慶應義塾における教育活動、公共分野での先進的な取り組みなどに光を当てるとともに、福澤の門下生たちが収集した美術コレクションを始めとする絵画や工芸品を展示するという。展示作品の中で特に注目すべきは「山口良蔵宛書簡」。これは福澤が友人・山口に宛て自らの理念を記したものであり、慶應義塾の原点を読み取ることができる。活字化されたことはあったが、一般への実物公開は今回が初となる。

 そのような資料の展示を通し、福澤の「異端」と「先導」の交錯を伝えることが本展の狙いと言える。未来を先導する者として異端であることを恐れなかった福澤の姿を浮かび上がらせることで、150年の時を経た現代社会へのメッセージが見えてくるだろう。