法学部法学研究所主催の講演会「中国情勢と日米中関係」が先月5日、三田キャンパス南校舎ホールで行われた。教壇に立ったのは慶大法学部の国分良成教授。国分教授は近年における中国の急速な経済成長とその発展の背景、また中国国内の政局などについて講演した。
国分教授は中国のGDPが日本を抜き、アメリカに次いで2位になったことを踏まえ、中国の経済成長は日本の高度経済成長と違った仕組みのものであると解説。日本は外資依存ではなく、国内の産業と技術を高めることによって経済成長を果たしたのに対し、長年の社会主義で基礎の弱い中国は外国資本を積極的に受け入れ、海外依存度を高めることによって経済成長したと話した。その上で、「アメリカや日本の企業はすでに中国に巨大な資本を投下しており、中国から企業を撤退させることは不可能。今や世界が中国経済への依存度を深めているが、中国の内実も厳しい」と現状の問題点を示した。
また、日米に中国の経済が追いついてきたことで、中国の対外姿勢が対日を含めて変化していることを指摘。その例として国分教授は昨年の尖閣諸島における中国漁船衝突事件を挙げた。「これまで中国は日本に対しては一目置いていたが、このところ自己主張を強め、ナショナリスティックな言動が目立つようになっている」と国分教授は話し、中国の強硬姿勢に一定の懸念を示した。