理工学部主催の人間教育講座が先月2日、日吉キャンパスJ24教室にて開かれた。本講座は今回で40回目の開催となる。
講師は漫画家の美内すずえ氏。美内氏は16歳のときに高校生漫画家としてデビュー。代表作「ガラスの仮面」など、数々のヒット作を世に送り出してきた。「ガラスの仮面」は現在までにテレビアニメ化、ドラマ化、舞台化もされている。
「ありがとうの力」をテーマにした講演の中で美内氏は、漫画家としての活動や日常生活から実感した、感謝を示すことの重要性について語った。
美内氏は執筆活動を続ける中で、たくさんの人々の協力とそれに感謝する気持ちがあってこそ出版ができるということに気付いた。そしてそれは人生においても同じだと感じたという。「人間は自分一人では生きられない。たくさんの協力を得て生きている。だから、『ありがとう』は惜しみなく使ってほしい。運を開くのも閉ざすのも誰のせいでもない、自分自身の心の持ち方次第。周りに感謝していく心があれば、必ず運は開けていく」と述べた。
その上で、「ありがとうの力」が存在する一方、現代の日本人はその力を忘れがちであると指摘した。
美内氏は、かつての日本人はすべての存在に感謝する心を持っていたと解説。その心は、昇り行く朝日や使い古した包丁、折れた針にまで向けられていたことを紹介し、「日本人が長い間忘れていたそのような感謝の気持ちを、漫画を通し蘇らせたい」と締めくくった。
講演会終了後には、学生や一般の参加者による活発な質疑応答が行われた。