ライフネット生命保険では、シンプルで分かりやすい生命保険商品を作り、販売しています。
日本の多くの生命保険会社は、大量の広告と保険外交員により高コスト体質です。それを賄うために保険商品にさまざまな特約を付けて複雑化・高額化させてきましたが、保険商品の複雑化は多くの不払い問題も招きました。
私たちは営業社員を持たずネットを唯一の販売チャネルとしていることから、シンプルかつ割安な保険商品を実現しています。
―業界の特徴
業界全体としては決して順風満帆とは言えません。日本人の保険加入率は90%を超え、加えて少子高齢化によって新しいパイがなかなか増えていかない事情もあります。ただ若年層には所得の減少から無保険者が増えてきていることや、不払い問題による複雑な保険商品への嫌気から、私たちの商品は時代のニーズに合致しているように思います。
―社風
私たちの事業は公的な保険の補てんという意味で、社会のインフラ的な公益性の高い業種です。なので、社員には「ここで働くことが社会にとってどのような意味を持つのか」ということを考えたがる人が多いように思います。
また社長であっても「さん付け」で呼ぶような、非常にフラットな組織になっています。
―採用について
採用の際にも分かりやすい採用を心がけていて、各採用プロセスでの通過人数など、できるだけ多くの採用にかかわる情報を開示しています。選考の特徴としては、最初にレポートの提出をお願いしているのですが、これが非常に「重い課題」で、片手間にはできないような考えるプロセスそのものを問う課題となっています。
―求める人材
採用の際には、今までどれだけチャレンジをして、どれだけ自分の頭で考える訓練をしてきたかを重視しています。加えて先に挙げたような社風から、自分の仕事の意義をしっかりと理解し、それを日々の仕事に落とし込んでいける人が理想ですね。
―就活生へのアドバイス
学生のみなさんは就職活動を通して自らの強みなどを認識していくと思いますが、そういったことは必要に迫られなければやらないことなので、非常に良い機会になると思います。
一方、自己分析をいくら熱心に行っても、それが必ずしも自分にとっての天職の発見に結びつくものではないことも理解しておくとよいと思います。「強み」にしても20歳そこそこでは分からないことも多いでしょう。
本当は社会的に意味があって自分の能力を生かせる職場が一番です。ただ実際、その見極めはなかなか難しいのが現実です。それならば、どの会社に入るかよりも、「入った会社でいかに一所懸命やれるか」、「誰と仕事をするか」、「迷いながらでも食らいついて仕事をしていけるか」といったことの方がずっと重要だと思いますね。
聞き手=岡本直人