「『身近な危険を共に考える。』若者の消費者問題シンポジウム」が先月6日、三田キャンパス南館5階にて行われた。シンポジウムは、経済アナリストで獨協大学経済学部教授の森永卓郎氏のメインシンポジウムと、テーマごとに分かれた4つの分科会で構成された。主催は東京都生活協同組合連合会、全国大学生協協同組合連合会東京ブロックからなる、若者の消費者問題を考えるシンポジウム実行委員会。
森永氏はメインシンポジウムを「勝ち組でも負け組でもない人生」と題し、新自由主義、資本主義を批判。サッチャー政権以前の英国では「医療費・教育費などが無料の幸福社会」であったとした。
続けて、消費税の逆進性を強調。野田首相の掲げる増税政策について「金持ちを優遇し、庶民を苦しめる」と苦言を呈した。また、東日本大震災の復興需要がなくなり景気が悪くなってくる時期が増税時期と重なるとの予想を示し、日本の将来を危惧した。
一方で、本当の幸福について現代ヨーロッパの没落貴族を例にとり「彼らはお金がなくても、工夫して明るく暮らしているので幸せ。優雅な生活にお金はいらない」と語った。
分科会でのテーマは「消費者被害から見た日本の貧困、無縁社会~人として当たり前に生きていけるように~」、「多重債務の落とし穴~奨学金、借金、お金の借り方、返し方~」、「ネットワークビジネスの落とし穴~学生への注意・大学側の心構え~」、「就職活動の落とし穴~若者の労働相談から見えてきたこと~」。内閣府参与の湯浅誠氏、北海道大学大学院教授の櫻井義秀氏らが各ブースで聴衆との談義を交えながら講演した。また、専門家から消費者被害と労働問題のアドバイスを受けることができる相談ブースも設置された。