先月17日、来日中のブータン王国のジグミ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク国王へ慶應義塾大学名誉博士号が授与された。授与式は三田キャンパス三田演説館で行われ、中村慎助経済学部長が推薦書を朗読、清家篤塾長より学位記が贈られた。
慶應義塾はジグミ・ケサル国王がブータンの発展や、「国民総幸福」の概念の普及に尽力したことを評価。推薦書では、戴冠式以降2年間で5万人の国民と対話するなど、国民との対話を重視する姿勢、国民へ財産を無償提供する「施し(kidu)」の精神が強調された。国王は東日本大震災に際しても、直後に天皇陛下へお見舞いの言葉を送り、震災翌日には祈りの式典を自ら主催、義援金として約8000万円を寄付した。
ワンチュク国王は記念講演で、環境破壊・貧困・格差拡大といった現代の諸問題に対して、国や人種を越えた取り組みが必要であると語った。そして来場した塾生に向け、「人生を振り返った時に、後悔なく、幸せで満たされていますように」と幸福な社会の実現を願った。