10月31日、2カ月にわたって行われた第87回関東大学バスケットボールリーグ戦が幕を閉じた。第1週目から第6週目にかけて2勝10敗と大きく出遅れた慶大。続く第6週目から最終週では、専大、東海大に2連勝し、最終成績は4勝14敗。慶大は勝率で明大を下回ったため順位は最下位になり、入れ替え戦では2部1位の日体大と対戦することになった。また、リーグ戦では青学大が2年連続9回目の優勝を飾った。         (鈴木優人)

【筑波大戦 追撃も及ばず 筑波大に惜敗】
 筑波大との対戦。慶大は後半の追い上げもむなしく、89―101で敗れた。
 序盤、慶大は筑波大のオールコートプレスを前に「ボールが運べなかったら試合にならない」(佐々木ヘッドコーチ)と苦しい立ち上がりを見せる。プレスディフェンスからテンポよく加点していく筑波大に対し慶大はミスを連発し、点差は最大17点に。その後、中島が3Pシュートを決め、慶大はなんとか39―52で前半を終える。
 後半開始5分、筑波大の猛攻に慶大は対応できず、スコアは43―70。勝敗はすでに決まったかのように思われたが、慶大はここで粘りを見せる。
家治(環4)の連続得点により15点ビハインドで第3Qを終えると、続く第4Qでも猛チャージ。蛯名(法2)、権田(法1)の得点で86―91とし、残り2分で慶大は筑波大の背中を捕えた。だが、筑波大エース田渡の圧巻の個人技を前に万事休す。あと一歩及ばず、慶大は89―101で敗れた。
 試合後、権田は「勝負所でミスがあったり、シュートが入らなかったりというのがあって、勝てる試合を落としたのがすごく残念」と敗戦を悔やんだ。

【拓大戦 見せ場欠き拓大に敗戦】
 機動力が売りの拓大との対戦。慶大は速攻で仕掛ける拓大のオフェンスに終始圧倒され、89―115で敗れた。
 序盤、慶大は主将家治(環4)、蛯名(法2)がオフェンスを牽引し、拓大と互角の試合運びを見せる。しかし膠着状態が続く中、拓大の得意とするアウトサイドシュートが決まり始めると主導権は拓大に。家治、本橋(環2)の得点で点差を詰めたい慶大だったが、ディフェンスが機能せず。43―57と慶大の14点ビハインドで前半を折り返した。
 後半に入ると拓大の長距離砲はさらに火力を増す。慶大は家治がミスマッチをついたポストプレーで応戦するも、第3Q終了時で64―93と点差は開くばかり。
 続く第4Qでは主力選手を休ませる拓大に対し、慶大は攻守にわたり集中力を欠き、見せ場を作ることができなかった。結局最後まで拓大優勢の流れは変わらず、慶大は89―115で敗れた。

【専大戦 接戦を制し待望の白星】
 専大との対戦。慶大はトランジションプレイが冴え、85―78で待望の白星をあげた。
 序盤、慶大は主将家治(環4)の連続得点でよい滑り出しを見せると、蛯名(法2)、伊藤(環1)がそれに続く。流れに乗る慶大はディフェンスから速攻という得意のスタイルでテンポよく加点し、専大を突き放しにかかる。専大も負けじと宇都中心のオフェンスで対抗し、両者一歩も譲らない展開に。前半終了時で36―36。運命の後半戦へ突入した。
 後半に入っても一進一退の攻防が続き、第3Qも56―56と同点で終わる。続く第4Qでは中島(総2)が中、外にわたってオフェンスを牽引し、残り20秒で慶大2点リード。最後は「自分も点を取らないといけないと思っていた」という蛯名のバスケットカウントで専大を突き放し、慶大は85―78で大きな一勝をあげた。
 試合後、「皆が気合を入れてシュートを決めてくれた。今日の勝ちで成長できた」と、家治。また中島は「チームとしてやりたいことができない悪い流れがあったが、この瞬間がいいきっかけになってくれればいいです」と語った。

【東海大戦 劇的な勝利でリーグ2連勝】
 現在2位の東海大との対戦。前日の勝利で波に乗る慶大は79―77で劇的な勝利を収めた。
 第1Q、慶大は思うようにシュートが決まらず、11―21と東海大に出遅れる。しかし、持ち前のプレッシャーの強いディフェンスが機能し始めると、徐々に点差が詰まっていく。東海大も連続3Pシュートで応戦し、慶大は32―39で前半を折り返した。
 後半、慶大は「離されまいと皆が一丸になった」(本橋・環2)と、チーム全員で戦い、試合は息を飲む接戦に。
 試合が動いたのは第4Q残り10秒、蛯名(法2)のドライブで77―74とすると、東海大はたまらずタイムアウト。続く東海大のオフェンスで蛯名がフリースローを与え、77―77。残り時間は7秒、このまま延長戦に突入するかと思われた。
 しかし試合終了間際、「迷わず自分で行こうと思った」という伊藤(環1)のシュートがネットを揺らし、慶大が再逆転。79―77で劇的な逆転勝利を収めた。
 試合後、佐々木ヘッドコーチは「家治が本来の姿に戻って、精神的な支柱になりつつある。それが良いところですね」と、これからの慶大に期待を寄せた。

【日大戦 終始圧倒され日大に完敗】
 日大との対戦。慶大は要所でイージーシュートを決めきれず、58―88で敗れた。
 試合開始4分、慶大は0―10と日大に大きくリードを許し、リーグを通しての課題であった「立ち上がり」がうまくいかない。その後慶大は日大の不調に助けられ、なんとか12―16で第1Qを終える。第2Q、慶大は中島(総2)の3Pシュートで3点差に迫るも、攻守にわたり精彩を欠き22―34で前半を終えた。
 後半、慶大はインサイド陣が踏ん張れず、日大にリバウンドを献上。さらにターンオーバーを連発し、慶大は日大に大きく離される。一試合を通じて日大に主導権を握られ、慶大は58―88で敗れた。
 オフェンス力不足、リバウンド、立ち上がりなどさまざまな課題が浮き彫りになったこの試合。試合後、佐々木ヘッドコーチは「個人があらかじめ決めた仕組みの歯車を果たし切れていない。それが今年のチームの不安定なところです」と語った。

【青学大戦 リズム作れず王者に完敗】
 2カ月に及ぶリーグ戦を締めくくるのは王者青学大との対戦。慶大は力及ばず、67―89で敗れた。
 試合開始直後、慶大は青学大に先制を許すも、中島(総2)の3Pシュート、バスケットカウントで応戦する。慶大は持ち前のプレッシャーの強いディフェンスで青学大にくらいつき、35―41で前半を終えた。
 後半、両チーム共にイージーシュートを決められず、スコアが停滞する。これを先に抜け出したのは青学大。辻の3Pが決まり始め、慶大を突き放しにかかる。一方慶大はシュートがリングに嫌われ、思うように得点することができない。両チームの点差は最後まで縮まることはなく、67―89で試合終了。慶大はリーグ最終戦を白星で飾ることができなかった。
 試合後、リーグ戦を振り返って「チームとしてのまとまりが最後までなかった。キーとなるところで力が発揮できない」と佐々木ヘッドコーチ。入れ替え戦に関して家治(環4)は「コミュニケーションをしっかりとって、入れ替え戦には不安要素を残さないようにしたい」、伊藤(環1)は「挑戦者という気持ちで全力で試合に臨み、勝ちたいです」と語った。