今季2勝を挙げ活躍する竹内(大)
今季2勝を挙げ活躍する竹内(大)
【投打噛みあわず連覇遠のく】
東京六大学野球秋季リーグ戦が先月10日に開幕した。春季リーグ完全優勝を果たした慶大は、東大戦を連勝し幸先よく勝ち点を奪う。しかし法大戦、明大戦はともに第三戦までもつれるも、全く投打がかみ合わず、2カード連続で勝ち点を落とした。一方明大が勝ち点を4に伸ばし、慶大の優勝はかなり厳しくなった。      (野球取材班)
【東大第1戦 終盤に逆転 東大に先勝】
 秋季リーグ開幕戦となった東大第1戦は、慶大が終盤逆転し、5―2で勝利した。
 慶大先発の竹内大(環3)は、テンポよく打たせて取るピッチングで東大打線を6回まで無失点に抑える。
竹内大の好投に応えたい慶大打線だが、東大先発鈴木の前に6回までヒット3本に抑えられ、なかなか点が奪えない。
 試合が動いたのは7回表。慶大は竹内大の暴投で招いたピンチから2本のタイムリーヒットを浴び2点を先制される。苦しい展開となった慶大だったが、その裏、阿加多(政3)の2点タイムリーヒットですぐさま同点に追いつく。
続く8回、慶大に無死満塁のチャンスが訪れる。この決定機に山崎錬(商3)が2人を返すタイムリーを放ち、逆転に成功。後続も続き、一挙3点を勝ち越す。
9回は福谷(理3)がきっちりと3人で締め、試合終了。開幕戦は慶大が接戦を制した。
試合後、逆転のタイムリーを放った山崎錬は「(竹内)大助の勝ちが懸っていたので何とか一本ほしかった。打ててよかった」と笑顔で振り返った。
【東大第2戦 打線繋がり東大に連勝】
東大第2戦は、序盤から効果的に点を加えた慶大が東大を5―0で下し、連勝で幸先よく勝ち点を手にした。
試合は序盤から動いた。慶大は初回、エラーで出塁した走者を伊場(政4)がタイムリーヒットで返し手堅く先制。3回には2死満塁の好機に、藤本(環1)がタイムリー二塁打を放つなど3点を加点。続く4回にも追加点を奪い、リードを広げた。
 慶大先発の白村(商2)は、「今年で一番調子が悪かった」と言うように制球に苦しみながらも、5回6奪三振無失点と好投した。6回以降、慶大は継投策で逃げ切りを図る。9回に登板した福谷(環3)は3奪三振と、東大打線に付け入る隙を与えない投球を見せた。
 試合後、3安打1打点の活躍を見せた伊場は「ミスをせず一つ一つ大事にやっていきたい」と語った。
【法大第1戦 接戦を制し法大に先勝】
法大第1戦は慶大が先制点を奪われる展開となったが、すぐさま逆転し法大を2―1で下した。
 慶大打線は序盤から好機を作るも得点することができない。5回表には、安打とエラーで初めてのピンチを招くと、法大にあっさりと1点を先制されてしまう。しかし直後の5回裏、慶大は再び迎えた得点機に山崎錬(商3)の適時二塁打で逆転。その後もたびたびチャンスを作るものの追加点を奪えず、試合を決定づけることができない。
 一方投手陣は、先発した竹内大が7回6奪三振1失点の好投。5回に先制を許すも、その後は持ち味の粘り強さを見せた。8回からは慶大守護神の福谷が登板。2回を無失点の好投で抑え、1点のリードを守り切った。
試合後、竹内大は自身の投球について「(大事な初戦は)勝つしかなかったので勝ててよかった。(ピンチが少なかったのは)後ろがしっかり守ってくれたから。次も勝てるように頑張る」と振り返った。3安打2打点の活躍の山崎錬は「何としてでも打ちたかった。絶対に打てると思って打席に立った。1戦目は大事なので勝ち切れてよかった」と話した。
【法大第2戦 打線が沈黙 今季初黒星】
先勝し迎えた法大第2戦。慶大は序盤の好機を攻めきることができず、法大に1―3で敗れた。
この日の慶大打線は得点圏にランナーを置くものの、あと一本が出ない攻撃が続いた。ようやく点を奪ったのは6回。1死2塁の好機に山崎錬(商3)の三塁打で1点を返す。しかし後続が続かず、追加点を奪えない。8回以降は法大三島の前に1人のランナーも出すことができなかった。
一方、慶大先発の白村(商2)は上々の立ち上がりを見せる。しかし3回、2死から四球を許すと続く打者に2ラン本塁打を浴び、先制を許してしまう。3回以降はピンチを迎えるも追加点を許さず、6回2失点で降板。二番手の只野(商3)も8回、先頭打者に三塁打を打たれると、後続にタイムリーを浴び、ダメ押しの追加点を与えてしまう。
結局最後まで打線の援護はなくこのまま試合終了。なかなかチャンスを生かせなかった慶大は、今期初の黒星を喫した。
【法大第3戦 法大に惜敗 勝ち点逃す】
1勝1敗で迎えた法大第3戦は、慶大が先制するも逆転を許し、2―1で敗れた。法大に2連敗を喫した慶大はこのカードで勝ち点を奪えなかった。
試合が動いたのは4回裏。慶大は伊藤(環4)の安打から作ったチャンスに福谷(理3)がタイムリーを放ち1点を先制する。しかし、直後の5回表、先発の福谷が2本の安打を許しあっさり同点に追いつかれると、6回にも守備の乱れから1点を失い、勝ち越し点を献上する。7回以降は2番手の竹内大(環3)が安定した投球を見せ、打線の援護を待つ。
追いつきたい慶大は9回表、2死満塁と1打逆転のチャンスをつくる。しかし、ここで齋藤雄(政3)が空振り三振に倒れ試合終了。結局慶大は投手陣の好投に打線が応えられず、痛い一敗を喫した。
試合後、主将の伊藤は、「投手陣は頑張っているが、それに野手が応えられていない。下を向いている時間はないので切り替えていきたい」とコメントを残した。
【明大第1戦 竹内が好投 初戦を制す】
 優勝を目指す上で最大の山場となる明大戦。慶大は竹内大(環3)の好投と守備陣の固い守りで明大との初戦を制した。
 慶大が先制したのは3回。先頭打者の竹内大が安打を放ち出塁すると、山﨑錬(商3)の適時二塁打で1点を先制する。さらに、次の回も相手のエラーで追加点を挙げ、プロ注目の明大・野村から効率良く得点を重ねる。
 一方、この日の先発・竹内大は直球と変化球の制球力が良く、たびたび走者を許すも粘り強い投球で強力な明大打線に得点を許さず、116球で完封を飾る。また、守備陣も伊場(政4)と福富(商3)のファインプレーが度重なるピンチを迎える竹内を助け、勝利に大きく貢献した。
【明大第2戦 好機生かせず接戦を制す】
先勝して迎えた明大第2戦は、慶大が先制点をあげるも試合中盤に逆転を許し、明大に2―3で敗れた。
先制したのは慶大。好調の影山(総3)が2回に先制2ラン本塁打を放つ。しかし、2回途中から登板した法大の岡大を攻めあぐねる。伊藤(環4)、影山が2安打を放ち、チームとしても9安打を記録するも好機に一打が出ず追加点を奪えない。
慶大は春季より抑えを任されていた福谷(理3)を久しぶりの先発起用。140㌔を超えるストレートで明大打線をねじ伏せるも、4回、6回のいずれも相手投手の岡大に適時打を打たれ逆転を喫する。その後も崩れず試合を作ったが、味方の反撃がなかった。結局慶大は投手陣の好投も空しく、接戦を落とした。
試合は息詰まる展開だったが、ラフプレーも見られた。7回の慶大の攻撃中、2塁走者の影山が飛び出し、二、三塁間に挟まれたプレーで二塁手上本が走者の頭にタッチ。相手を侮辱するようなこのプレーに江藤監督がベンチから飛び出し猛抗議。試合終了後、上本は監督に連れられ慶大ベンチに謝罪に訪れた。スタンドからもヤジが飛び、後味の悪い試合となった。
【明大第3戦 明治に大敗 優勝遠のく】
 1勝1敗で臨んだ明大第3戦。連覇達成を大きく左右する試合であったが、7―0と完封負けを喫した。慶大は序盤から失点をすると、終始明大にペースを握られる試合となった。
 慶大打線は、明大エース野村の丁寧な投球を前に完全に沈黙。8回まで4安打8三振と完璧に抑え込まれる。ようやくチャンスを迎えたのは9回、相手のエラーと安打で得点機を作る。しかしここでも後続が続かず、最後まで野村を攻略できなかった。
投手陣は、先発の竹内大(環3)がまさかの大乱調。2回に押出しの死球で先制点を与えると、後続にタイムリーを浴び、この回3点を失う。続く3回にも追加点を奪われると、竹内大は2回1\3、死四球5、自責点5の荒れた内容で降板。慶大は継投策に移るも、勢いに乗った明大打線を抑えることができず、その後も追加点を許してしまう。
結局圧巻の投球を見せた明大野村に完封され試合は終了した。
春季リーグ戦では完全優勝を果たした慶大は、2カード連続で勝ち点を落とし、優勝からまた一歩遠のいた。