大学生活を都会で過ごす学生にとって、「地域で活きている自分」を明確にイメージするのは容易ではない。また地域に貢献したくても、具体的なスキルや仕事像をつかめずに不安を抱く人も少なくないだろう。このような若者をサポートし、地域と結びつけているのがNPO法人ETICだ。
起業支援やインターンシップ事業を通して起業家型リーダーを育成するETICは、2004年に「チャレンジ・コミュニティ・プロジェクト」を始動。「地域にこそ若者の挑戦の場がある」と力強く語るのはコーディネーターの瀬沼希望氏。この試みでは、「地元を元気にしたい」「地域活性化や社会貢献に携わりたい」という思いを抱く若者の挑戦を、さまざまな形で支援しているという。
例えば大学生向けに行われているのが、夏休みに開催される「地域ベンチャー留学」だ。これは1カ月程度の短期インターンシップであり、北海道から沖縄まで全国各地の提携企業の経営者やNPO代表の下で、住み込みで新規事業の立ち上げや地域活性化に取り組むというもの。
最大の特徴は、学生はインターンシップ生としてではなく、地域にいる社会人と同じ立場でプロジェクトの一端を担う点。担当者の川口枝里子氏は、「歯車としてではなく、自分が主体的に動いて仕事を作り出していくことの魅力を実感できる」と話す。
他にも、若手社会人向けの「地域イノベータープログラム」というプログラムや、学生向けの「半年以上の長期実践型インターンシップ」なども行っている。「最近は休学して長期実践型インターンシップに取り組む熱心な学生も多い」と瀬沼氏は話す。長期のインターンシップに参加した学生は6年間で1568人にも上るという。
また「地域仕事づくりチャレンジ大賞」では地域課題に取り組む企業や学生、自治体や大学を表彰することで、日本の新しい仕事づくりを提案している。このイベント会場には無料で入場することが可能で、「多くの学生が見学に訪れる。東京にいながらも刺激を受け、価値観を見直せるよい機会になるのでは」と川口氏は話す。
最後におふたりに塾生へのメッセージを伺うと「都会の大企業が良いと思うのはなぜか。他人の価値観や世間一般の考え方を、自分の価値観にしてしまっている人が多いような気がする。地域ということに限らず、インターンシップなどの実体験を通してもう一度自分の本当にやりたいことを自由に考え直してみては」とアドバイスを頂いた。
(竹田あずさ)