たくさんのスポーツの中でも、「狙う」ことを一番の目的としている競技がある。代表的なのが、弓術とアーチェリーだ。和と洋、それぞれの形で「狙う」ことに全てを注ぐ選手たち。なぜ彼らは「狙う」ことに魅せられるのか。今回は和と洋、それぞれの「弓」について、弓術部主将礒野晋作さん(政4)、洋弓部主将野島尚さん(政3)にお話を伺った。
――まず、お2人が弓という競技を選んだ理由を教えてください。
礒野 中学以前に弓道を経験している人はほぼおらず、スタートラインがみんな同じであることに競争のし甲斐があると感じたからです。
野島 「相手と戦う」よりも「自分と戦う」競技の方が自分に向いていると思ったからというのも理由の1つです。
――なぜ洋弓ではなく和弓、和弓ではなく洋弓なのでしょうか。
礒野 スポーツとしての弓(洋弓)よりも武道としての弓(和弓)の方がかっこいい、弓を引く姿がきれい、と感じたからです。
野島 慶應は西洋のスポーツが強いという勝手なイメージから、慶應らしいスポーツであると思ったためです。
――和弓、洋弓を比較したときの相違点を教えてください。
野島 洋弓はとにかく「中(あ)てること」に特化した非常に合理的・科学的なスポーツだという点です。和弓よりも理系人口が多いような気もします。
礒野 やはり和弓は武士の使う武具であったということですね。武道なので姿や作法を重視します。
――では、共通点はどうでしょうか。
野島 相手が人ではなく、動かない的なので自分との戦いであるという点です。生涯スポーツであるというのも共通していると思います。
――つらかったことやよかったことはなんでしょうか。
礒野 辛いことはたくさんあったのでしょうが後になると忘れてしまう性格なので特に思い付きません。ただ、試合で中たらなかったときはつらかった。逆によかったのは勝てたときや思うように中てられたときですね。弓道とは自分との闘いであり、そこで自分がどのような性格なのかを知ることができたことも大きいと思います。
野島 洋弓は個人競技ですが洋弓部はチームなので、努力が実を結んだときの喜びを共有する仲間がいることが良い点だと思っています。
――今後の展望について教えてください。
野島 主将としてチームを引っ張り、部員が一丸となるように努力することです。
礒野 やはり自分たちの代でリーグ戦に全勝して、王座につくことです。そのためにまずは自分が崩れない射手になることが必要だと考えています。
――では最後に、お互いの部に対して一言お願いします。
礒野 今度ガチバトルしましょう。威力も精度も負けると思うけど(笑)。
野島 「慶應の弓」と言えば洋弓・和弓どちらを指すのかを賭けて、是非勝負したいところですね。
――ありがとうございました。
(森田清美)