慶應義塾は5月30日、今夏の節電方針を公表した。東日本大震災の発生以後不足する電力供給への対応として、義塾は15%の使用電力削減を目標に今回の節電方針を決定。義塾側はこれまでもさまざまな節電対策を実施してきたが、この節電方針をもって改めて明文化し、正式に節電対策を実施することになる。                                       (清水咲菜)

3月11日に発生した東日本大震災による電力需要に伴い、政府は2011年5月13日付けで「夏期の電力需要対策」を発表。企業や大学、公共施設に対し15%の電力削減を要請した。義塾ではこの要請にのっとり各キャンパスの電力削減目標を設定し、全体として15%の削減を達成する方針だ。学事日程の変更もこの節電要請を想定したものであった。

使用電力の削減のため義塾の各キャンパスでは、照明の制限・使用停止、空調の温度設定の変更、建物使用規制やエレベーターの稼動制限、教職員のクールビズなどにより目標達成を目指すという。

具体的な節電目標は三田・日吉・矢上・SFC・芝共立の各キャンパスで20%、慶應病院のある信濃町キャンパスは「制限緩和」(0%削減)措置が講じられるが、電力削減に協力し6%の削減を目指している。

節電の内容としては、空調温度を28℃に設定。また、教室・研究室・事務室・会議室・メディアセンターの照明を通常の15~20%消灯し、廊下や屋外体育施設も支障が無い限りにおいて照明の使用を制限する。エレベーターの使用も各建物につき原則1台のみ稼動。塾生には階段の使用を促している。

給湯器や化粧室の洗浄機能については使用を制限し、冷水機の冷却機能は当分の間の稼動を控えるよう対策を講じている。義塾の節電対策は夏季休業中も通常通り実施されており、必要のない教室の使用は極力控える予定だ。特に三田キャンパスの第一校舎、西校舎は夏季休業中も使用を控える可能性もある。

施設によっては設定目標以上に節電を行っているところもあり、図書館では書庫の照明を最低限必要な電気のみ使用したり、電気をこまめに消したりと、義塾のHP上に記載されていない部分でも節電に尽力している。

7月からは義塾のホームページ上で使用電力の合計値の「見える化」を行なう予定。これは義塾の使用電力の数値をグラフにしたものである。ほぼリアルタイムで最新の使用電力を確認することができる。

なお、秋学期については例年通り9月の下旬からの授業開始を想定しているが、依然として震災の余波もあり、今年の夏の気候や電力供給需要の状況によっては変更の可能性もありうるという。夏季休業に入るため塾生には常に学事日程を確認し最新の情報を把握することが求められる。

これらの節電対策は6月1日から9月30日で実施される予定。それ以後については未定だが、環境への配慮も踏まえ、社会貢献の一環として節電に積極的に取り組む方針だ。

今後の学事日程などに関する情報の確認は義塾HPの塾生Webへ。保健管理センターの熱中症対策「熱中症にならないために」は保健管理センターHP上で確認できる。