東日本大震災の影響による電力供給不足が予想され、企業や学校、各家庭での節電が呼びかけられている。
今月2日にSFCで開催された七夕祭では、電力不足に配慮し、塾生がさまざまな工夫をこらして節電・エコを意識しながら大学祭を両立させた。
今年の七夕祭では例年とは少し違う風景が広がっていた。タロー坂の装飾が減り、ちょうちんは点灯しない。キャンパスの入り口で、いつもなみなみと水が流れるカスケードが作動していない。当日だけでなく、七夕祭までの準備期間においても、SFCでは七夕祭実行委員会によって徹底的な節電・エコ活動が行われていた。
七夕祭実行委員会代表の山口太郎さん(総2)は「節電・エコに気を配りつつ『震災後の自粛ムードが漂う中で、いかに楽しませることできるのか』という点でとても悩んだ」と語った。
七夕祭準備期間における節電工夫としては、七夕祭実行委員会が活動する部屋の照明を日の出から日の入まで消灯する。空調はつけない。冷蔵庫の停止週間を作るといったものだ。エコについては、主に準備期間中に大量に消費される紙の利用を減らすために、裏紙を使用し両面縮小印刷をする、ウェブで資料の配布や添削を行うという工夫をした。
七夕祭当日の工夫としては、今年は使用電力量が大きいアリーナやΘ館は使用しない。模擬店のテント内の電球はすべて40㌔㍗から20㌔㍗のものに換えられ、調理器具に関してもホットプレートなど電気調理器具から鉄板などのガス用調理器具の使用が増えた。
七夕祭当日、電力の使用量が大きいものは、ステージの音響機材だ。第1ステージでは例年6000㌔㍗だった電力を4500㌔㍗に押さえ、電力の使用時間を短縮するためにステージ使用団体に節電の協力を募ったという。「ほとんどの七夕祭参加団体は、節電・エコに賛成してくれた」と山口さん。「七夕祭実行委員も節電・エコの努力をしているのだから、自分達も協力すると言ってくれた」と話した。
いつもは装飾準備や会場設営を七夕祭前日の夜から行っていたが、夜間の準備は夜間大型照明を使う必要がある。これを節電するため、前日の日中の作業や、七夕祭当日の日の出からの作業開始に時間を変えた。
また七夕祭当日は来場者へのエコ啓発キャンペーン活動として、慶大にある6つの祭りの代表者が連携して学園祭を助け合う六慶祭の協力のもと、κ・ε・ι・ο館の各館周りで打ち水が行われた。雨水を貯水してろ過した水を環境事業センター南部収集事務所から譲り受け、打ち水用の水として使用した。打ち水には体感温度を約2℃下げる効果があるといわれている。七夕祭で打ち水を行い、その冷却効果を来場者が実感してエコへの意識を持ってもらう、という狙いがあった。
今回の七夕祭で、エコ啓発キャンペーンを企画した牛頭貴大さん(総2)は「今年の七夕祭は例年以上に節電に向き合うことで、災害後に私たちに何が出来るのかを模索し、学園祭の新しい形になったと思う」とコメントした。また、「今まで七夕祭実行委員会ではエコの取り組みは行われていたが、『見える化』をしてこなかった。しかし、節電のために昨年より20%の電力を減らすためには何をどれだけ削る必要があるのかを考えたり、今回の紙の節約で75%の紙の節約をすることができることを計算したりと、数値を具体的に出すことで、今までどれだけ無駄があったのかも分かった。今後も細かいデータを収集してエコ活動を引き継いでいきたい」と話してくれた。
(工藤玲奈)