メンタリングを受ける高橋さん(中央) とメンター三田会の2人(左右)
メンタリングを受ける高橋さん(中央) とメンター三田会の2人(左右)
起業を目指す塾生に資金援助
起業したいが元手となる資金がない。アイデアはあるのに、形にするために必要なものが足りない。そんな理由で起業をためらっている塾生は多いのではないだろうか。そんな塾生に紹介したいのが、先日メンター三田会が創設した「エンジェル制度」だ。
メンター三田会は、塾生のビジネスプランの相談を受け実現を支援する、慶應義塾卒業生を中心とした組織である。
今回の「エンジェル制度」は起業を目指す塾生・塾員向けに、スタートアップおよびそのアイデア検証のため少額の資金援助をする、というもの。応募資格は原則的に慶應義塾の精神を理解する塾生・塾員であるということだけ。素早く資金援助を受けることができ、基本的に返済義務もない。
今回はエンジェル制度を創設したメンター三田会の庭田禎久氏と会長の森靖孝氏、実際にこの制度を利用する2006年総合政策学部卒の高橋理志さんにお話を伺った。
「行動して何かをつかむことが重要。まず行動することが大事です」。そう語るのは庭田氏。
「必ずしも1回目で成功する必要はありません。むしろ1回で成功するケースの方がまれですね。大事なことはその結果を検証し、次に生かすこと。失敗して再チャレンジすることで、成功する確率が上がってきます」。現在成功しているベンチャー企業を見ても、起業当初は全く別のビジネスをしていたところは多いという。
エンジェル制度を利用することで得られるものは資金援助だけではない。技術・マーケティング・事業経営へのアドバイス、最新かつ生の業界情報、慶應の人脈など、起業にとって必要な多くのリソースが利用でき、実際に事業が始まると、販売先も紹介してもらえる。「最初の顧客は会員が紹介した人、ということもよくあります」と森氏は話す。
受けられる資金援助は5万円から100万円くらいまで。今年の春に創設されたばかりの制度なので、この制度の利用者はまだ数名ほどだという。
審査はかなりスピーディで、高橋さんの場合は相談した数日後にはメンター三田会の幹事と面談。事業の方向性を確認し、その数日後には幹事会の決定を経て出資者の募集が行われている。
高橋さんは現在、 FindJPN という外国人旅行者向け体験予約サービスを提供する会社を立ち上げている。彼がこの制度を知ったきっかけはツイッターだ。「慶應にいるだけで使えるなら使わない手はない、と思いました」
高橋さんは援助された資金を広告や開発費につぎ込むという。「早く認知させることが事業の成功につながるので、そこに使います」。また、「いろいろな人と話をする機会が増え、非常にためになることが多いです」と語った。
利用することでさまざまな援助が得られる「エンジェル制度」。興味がある人はぜひ一度、メンター三田会に相談してみてはいかがだろうか。
(大竹純平)
エンジェル制度についての相談は庭田氏まで。
庭田氏の携帯は08041360078。