今年度東京六大学春季リーグの全日程が終了し、慶大野球部は2季ぶりとなる33度目の優勝を決めた。また慶大は慶早戦を含む全5カードを制し、37季ぶりとなる完全優勝を果たした。勝てば優勝となる慶早戦で、慶大野球部は早大に対し2連勝。これで今季旋風を起こした立大の2位が決まり、続いて法大、明大、早大、東大の順となった。関連記事=2面 (齊藤貴仁)
慶大にとって優勝をかけての慶早戦となった今季。昨年とは違い、慶早戦での優勝決定戦は実現しなかったものの、両校の白熱とした試合が見られた。
第1戦、慶大は早大の自滅もあり勝利。序盤で雨が止み、晴間が射し始めた第2戦、慶大が伊藤(環4)の2点タイムリーで先制した。終盤に早大の猛追を受けるも、最後は福谷(理3)が三振に抑え試合終了。優勝が決まると選手たちは一斉にマウンドに駆け寄り、歓喜の輪の中で江藤監督の体が宙を舞った。
優勝インタビューで江藤監督は「今年も投打の軸がしっかりしていた。六大学の代表として日本一になりたい」と力を込めて語った。伊藤主将は「完全優勝を狙っていた。実現できて本当に最高です」と笑顔で答えた。
大会閉幕後には各賞が発表された。慶大からは、福谷が最優秀防御率を獲得。ベストナインには、三塁手に山崎錬(商3)、外野手に伊藤が選ばれた。
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今季慶大の完全優勝は投打がかみ合った結果と言える。投手陣は、昨年度から2本柱として活躍し経験豊富な竹内大(環3)と福谷のほかに、白村(商2)の存在が大きかった。
竹内大は今季序盤、思い通りの投球ができず苦しんだ。試合を重ね持ち前の粘り強さを取り戻すと、チーム首位の5勝を挙げた。
今季抑えを任された福谷は最速155キロの剛速球で相手打者をねじ伏せ、三振の山を築いた。課題としていたコントロールを完全に克服し、慶大の守護神として大いに活躍した。
脚光を浴びる両投手を支えたのは、2年生投手白村だ。規定投球回数には達しなかったものの、防御率は1・21で2勝を挙げた。立大第2戦では2番手として登板し、好投を見せて慶大の逆転勝利に貢献した。
打撃陣は何と言っても伊藤の活躍が目立った。今季惜しくも三冠王は逃したものの、本塁打、打点の二冠に輝いた。プロ注目の選手として周囲からのプレッシャーを感じながらも、ぶれずに自分の持ち味を出した。また主将としてもチームを牽引し、完全優勝に絶大な貢献を果たした。
就任以来、慶大を2年連続のリーグ制覇へと導いた江藤監督の功績も大きい。
昨秋のリーグ戦で早大に連覇を阻止され、今年は基礎練習に一層力を入れてきた。日々の過酷な練習に堪えることができたのは、プロで指導してきた経験を持つ監督への信頼があったからだ。
監督や選手、スタッフが一体となり臨んだ今季。それだけにこの優勝には特別な思いがあることだろう。