世の中にはさまざまな資格が存在する。公認会計士・弁護士・公務員といった「国家資格」から、簿記・英語検定など、主に省庁が認定した基準を課される「公的資格」、民間団体や企業が独自の審査で認定するTOEICなどの「民間資格」など、数を挙げればきりがない。慶大の中でも、難関資格の取得を目指して1年生の時から専門学校に通う塾生も多い。
就職活動においても「資格」の需要が高まっていると感じる。自己アピールを求められる学生にとって、「努力」が可視化できる資格取得は、切り札を増やすためにうってつけだ。
資格取得は、我々にどのようなプラスを与えてくれるのだろうか。企業向けの研修や学生に職業体験プログラムを提供している「就活コンシェルジュ」の園田雅江氏にお話を伺った。
「難関資格であるほど能力の証明になるし、また第三者による一定レベルの認証はプラスに働くとは思う。しかし就職活動において資格を上手くアピールするためには、職種と資格を上手くリンクさせることが重要。誰にでも取れる資格をいくら並べても意味はない」と園田氏は述べる。
「重要なことは会社にとって意味のある資格を持っているということ。例えば不動産や建設、建築分野などでは宅建や不動産鑑定士、IT系の仕事であればシステム管理者の資格であるシステムアドミニストレータなどの関連資格を持っていた方が有利に働く。取得した資格がどのようにその会社で活きるのか、どのように有効に使えるかをエントリーシートや面接でアピールしなければならない」と説明した。
まだ自分の興味のある職種が分からない学生はどうすればいいのだろうか。
「1・2年生はとりあえず、少しでも気になる分野の勉強をすることもひとつの選択肢だと思う。勉強をしていく過程で自分の興味が見つかるかもしれない」とアドバイスする園田氏。実際に公認会計士の資格取得を目指していたが、監査の勉強を通して企業を知り、改善提案などコンサルの点から経営をサポートしたいと考えて、その業界に進む人もいる。
「他の業界でも財務分析や評価は欠かせない仕事なので、会計士の知識や経験は重宝する。勉強をした分だけ自分の中の引き出しが広がり、興味の範囲を広げることに繋がる」と話す。
今、園田氏が目を付けている資格については「システム監査技術者と並ぶ資格である『システムアナリスト』など高度情報処理技術者としてのIT系資格や、『中小企業診断士』などの国家資格がおすすめ」と語る。どちらもその業界を目指す人にとっては、勉強する過程で学ぶことが将来の仕事に役立つ内容なので、合格の有無に関わらず、勉強したこと自体が会社にアピールできるようだ。また園田氏は、「グローバル化が進む中ではTOEICだけではなく、中国語などの外国語の資格は重宝されるだろう」と指摘した。
自分の将来像がはっきり見えている人だけでなく、やりたい事や興味があることを見つけられず不安を抱えている人も資格の勉強をしてはどうだろうか。資格の勉強を通じて新たな興味を発見するだけでなく、ひいては新たな自分を見出すことになるかもしれない。
(田村優歩)