タッチパネル式のスマートフォン。画面に指を滑らせながら三田キャンパスを颯爽と歩くスーツ姿をよく見かけるようになった。
就職活動に備え、スマートフォンに機種変更をするという学生が急増している。しかし実際の就職活動において、スマートフォンは本当に必需品なのだろうか。FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアを活用した就活支援企画で人気を集める就活支援団体「しゅうかついったーbyハタプロ」の代表を務める伊澤諒太氏にお話を伺った。
「就職活動では、まず社会や企業の動きにアンテナを張ることが大事。情報過多な今、デジタルツールを使って効率的に情報収集することも必要。情報を知らないことで重要な機会を逃すこともあるし、情報収集のやり方も、より工夫が必要になってきている」
どれだけ早く、たくさんの必要な情報を手に入れて、整理・分析出来るか。これが就職活動の情報収集において大事なことだと伊澤氏は話す。 「パソコンと携帯電話の両方の特徴を兼ね備えたスマートフォンは理想の機械。出先でもHPで説明会の予約をしたり、Wordでエントリーシートを書いたりしながら、企業からの電話もすぐ受けることができる」と指摘する。デバイス自体を持ち歩けるため、移動中の電車の中など、場所にとらわれずに時間を効率的に使えることになるようだ。
また、アプリケーションが充実しているのもスマートフォンの利点。アプリをうまく活用することによって書類の整理が効率化されたり、出先でスマートフォンから自宅にあるパソコンを動かすことができるので、パソコンにしか入っていないファイルをメールで送ることもできる。
「特にスマートフォンの利点を有効活用できる分野はスケジュール管理とwebテスト対策。アプリの活用次第で、就活の進み方が変わってくる」と語る。
「まずスケジュール管理だと、ファイルを自分のパソコンと共有することができる『Evernote』やEvernoteとgoogleカレンダーを組み合わせてタスクやスケジュール管理に便利な『nozbe』、『アストロファイルマネージャ』などがおすすめ」と話す。これらは、画像や音楽などのさまざまなファイルを管理してどこでも使える状態にすることにより、就活の息抜きのツールとしても利用できる。
また、スマートフォンならではのメリットを活かせる第二の点がwebテスト対策だ。入社試験に使われるSPIは就活生の多くの悩みの種。SPIとは、言語能力問題と非言語能力問題に分かれた能力適性検査であり、前者は「語彙・読解」、後者は「算数に近い数学・物理」といった分野が幅広く出題される。
「Webテストの問題対策は特別な勉強が必要とされるが、そのための時間はあまり割きたくないところ。無料で学習できる対策アプリ『SPI~非言語編~』や、計算結果を見えるところに保存できる便利電卓『Fusion Calculator Lite』などを使い、少しの空き時間に勉強することが大切」と話す。多くのエントリーシートに点数記入があるTOEICの対策には「『聴けるっ!!英単語700』などでミュージックプレイヤーとしての機能も駆使して」とアドバイスを送る。
また、「就活は本当に情報戦。ソーシャルメディアなど、非公式なところで情報が得られることもある」と伊澤氏は語る。過去にある企業が採用募集の終了を公式発表した後で、Twitterでその企業のアカウントをフォローしている学生だけにダイレクトメールで追加の採用情報を送ったという例もあるそうだ。TwitterやFacebookを利用して、OB訪問にこぎつける学生も多いという。ソーシャルメディアをいつ、どこでも使用できることも、スマートフォンの利点だ。
最後にこれから就活に臨む塾生にむけて、「就活を、色々な人の価値観に出会って社会を知り、自分の人生が広がる良い機会だと前向きに捉えて活動してほしい。就活長期化の今、就活を楽しく効率的に進められる環境を自ら作ったほうが、納得のいく結果も出やすいはず」と伊澤氏はメッセージを送った。
(森田清美)