ロバート・ゲーツ米国防長官による塾生に向けた特別講演が先月14日、三田キャンパス西校舎ホールで行われた。
今回の特別講演はゲーツ氏が来日に際し、日米協力体制、とりわけ地域安全保障について直接日本の若者に伝えたいと希望したため実現したもの。塾外報道関係者、米メディアなども多数訪れた。講演は日米同時通訳で行われ、学生との質疑応答も行われた。
ゲーツ氏はCIA長官、テキサスM&A大学学長を歴任した現職の第22代米国防長官。在日米軍基地問題や、朝鮮半島の緊張に起因するアジアの安全保障問題を協議するため来日中で、講演も日米同盟関係に焦点が当てられた。
ゲーツ氏は北朝鮮の孤立と中国の強硬化を防ぐには日米関係のさらなる強化と日韓協力体制の強化が必要不可欠であると主張。「日本は安全保障輸出国になった」と述べ、米国のバックアップのもと日本にアジアにおけるリーダーシップを拡大するように求めた。
憲法第9条に基づき自衛隊の活動には制限がある。そのためゲーツ氏は日米同盟が相互に必要不可欠なものであり、日本は在日米軍基地問題に固執せず、日米同盟によるアジアの安全を維持するべきだとしている。米国は今後もアジアにおいて、抑止力として軍事力を維持していくという。アジア諸国における軍備の近代化に伴い、日米によるミサイル防衛システムの共同開発も提案した。
また、沖縄米軍基地を住民の負担が減るように再編する「再編実施のための日米ロードマップ」についても積極的な考えを示し、日米同盟の維持を呼びかけた。