9月18日に神奈川県江の島で行われた全日本モス級選手権で、國見洋光選手(医6)が2位と好成績を残し、先月8日から14日にオーストラリアのベルモントで行われた、Zhil Moth World Championship 2011(以下世界選手権)に出場した。

國見選手は世界選手権予選を109人中56位で終了。上位55人(ゴールドフリート)と下位54人(シルバーフリート)に分かれて行われた決勝戦にて、見事シルバーフリート1位を獲得した。

世界各地からプロ達が集ったこの大会。現役学生の國見選手は予選でこの競技の厳しさを知る。少しでも気を抜くと大きく順位が変わる混戦であった。世界各地の選手たちが、皆ゴールドフリート出場を目指して海の上を疾走する。

おしくもゴールドフリート出場を逃した國見選手であったが、11日から行われたシルバーフリートでは、最高順位を獲得した。

モス級とは1人で乗るタイプのヨットで、他の種目のヨットに比べ高速度で海を駆け抜ける競技である。ヨットの競技としては比較的新しいタイプのもので、近年競技人口が増えてきている。

國見選手がヨットを始めたのは9歳の頃であった。慶大医学部入学後、医学部ヨット部に入部。大学では370級という、2人乗りのヨットを中心に活動していた。モス級のヨットに乗り始めたのは昨年の3月。全日本モス級選手権の時点で約7カ月の経験しかなく、本人にとっても挑戦であったという。

現在、医学部6年の國見選手。2月には医師国家試験を控えているという。国家試験の直前となった今回の世界選手権。実は出場の権利を得た後も、エントリーするかどうか迷いはあったという。

國見選手の1番の目標はあくまで医師国家試験に合格し、医師になること。世界選手権への出場は、試験勉強に支障をきたすのではないかと懸念したそうだ。家族の後押しもあり、出場した今大会。結果、シルバーフリート1位という成績を残せたのも、支えてくれた人たちのおかげだという。

國見選手を支えてきた医学部ヨット部部長、山岸敬幸氏(慶大医卒)や元医学部ヨット部の各務宏氏(慶大医卒)は、今回の功績について「学業と両立をしながらの、今回の結果は素晴らしい。彼の今後に期待したい」と話す。

國見選手の今後の目標は、2013年にハワイで行われる世界選手権に出場することだという。医師という仕事と両立しながら、挑戦を続けていくと語った。彼の挑戦から今後も目が離せない。

(佐藤弘美)