慶應義塾は4月11日、ルクセンブルク所得調査(LIS)と協定を締結したことを発表した。これによって、日本初の男女全年齢対象パネルデータである「慶應義塾家計パネル調査(KHPS)」が世界へ公開される。
義塾では21世紀COEプログラムとして「市場の質に関する理論形成とパネル実証分析」という課題のもと、大学院経済学研究科と商学研究科が共同研究を行ってきた。KHPSはその一環として創設された慶應義塾大学パネルデータ設計解析センターが2004年1月から継続して行ってきた調査だ。内容は、全国の個人(4000世帯、7000人)の満20歳から69歳の男女を対象に、修学、就業、収入、支出、家族構成などを調査したものだ。
LISは世界30カ国以上、160項目を超えるデータを収集し所得に関する研究を行ってきた。今回、義塾がLISにわが国の家計パネルデータを提供することで、所得・貧困動態の国際比較研究が可能になり、実証経済学の分析水準の向上が期待される。
また、日本における所得階層の固定化が他の諸外国と比べてどの程度進展しているかが明らかになる。さらに、KHPSは経済協力開発機構の研究にも既に使用されている。