先月15日、三田キャンパス北館ホールにて、経済学部経済学研究科と在日フランス大使館が主催する公開講演会「10年後は世界的危機か―国債破綻とサバイバル」が行われ、ジャック・アタリ氏が登壇した。
清家篤塾長の挨拶の後、アタリ氏の講演が行われ、海江田万里経済産業相、土居丈朗経済学部教授が講演に対してコメントした。講演会の最後には質疑応答も行われた。
ジャック・アタリ氏は仏のミッテラン政権下では大統領補佐官を務め、初代欧州復興開発銀行総裁など要職を歴任した人物。
アタリ氏は講演会で、まず国債の生まれた歴史的経緯について話し、その後に国債を発行し続ける事の危険性にも触れた。公的債務の危機は民主主義の危機にもつながるとした上で、経済を妨げる要因は増税ではなく無駄な公的支出であるとの考えを示し、日本の増税、人口政策の必要性を訴えた。
これからの日本については、「2030 年に日本が経済大国であり続けるにはどうあるべきかを考えるべき」と語った。
海江田氏は将来的には増税の必要性はあるとしながらも、その時期はよく見計らうべきであるとした。人口政策については個人的な見解としながらも、コントロールされた移民政策という選択肢もありうると語った。
土居氏は、アメリカの経済理論をあげつつ、早期の増税の必要性を訴えた。 今回の講演会は、アタリ氏の著書『国家債務危
機』の日本での翻訳出版に伴い、アタリ氏が来日したのを期に行われたもので、慶大の他にも明治大学、中央大学で講演が行われた。