「日本語は、ファイナルファンタジー(株式会社スクウェア・エニックスのゲームソフト)から学びました。スーパーマリオブラザーズ(任天堂株式会社のゲームソフト)も大好きでしたね」
中国・上海出身の周嘉佳さんは、大好きな日本のゲームソフトについて、生き生きと語ってくれた。彼女は慶大大学院法学研究科に在学し、特許法を初めとする知的財産法を学んでいる留学生だ。
周さんは、上海の華東政法大学でも知的財産法を学んできた。法律分野のなかでも知的財産法を選択したのは、理科系の学生として、専門的知識を生かしながら中国の知的財産の問題に関われると考えたからだ。
「中国国内でも、知的財産の侵害防止が課題となっていて、知的財産法に通じた人材が求められていると感じていました」
中国の特許法は、日本の特許法と類似している点が多い。知的財産法の研究が発達した日本で法律を学びたいという思いから、日本への留学を決意した。
大学院では、知的財産を専門とする君嶋祐子准教授の授業で、主に特許法を勉強している。授業では、実際の訴訟での法的判断に関して、実務的なトピックを少人数で議論しているという。
「日本語の能力の向上と共に、予想していなかった問題を提示された際に、自分なりの考えをその場で示す能力がつきました」
近年、中国は目ざましい経済成長の過程で、日本、米国間等で、商標権や著作権侵害問題を引き起こしている。
「日本に留学したことで、中国で勉強していた時とは異なる視野を持つことができました。国際的な著作権の問題に関しても、関わっている国のそれぞれの立場を理解しなければ、解決することはできないと実感しました」
幼少期から関心があったゲームソフトは、彼女の現在の研究テーマである特許法と密接に関わっている。まずは日本のゲームソフト会社を就職の第一志望として掲げている。
「中国に進出している日本企業の知的財産部で働きたいです。知的財産の保護分野が進んだ日本でスキルを身につけてから、中国でその能力を生かし、公正な知的財産の運用に関わりたいです」
日中両国のフィールドで、6年間知的財産法を学んできた周さんだからこそ、客観的な視点で両国の知的財産権を巡る課題に向き合えるに違いない。
(佐々木真世)