政治家が作る国家予算。それを大学生の手で作ってみよう、というイベントが先月行われた。それがNPO法人ドットジェイピーの主催する「未来国会2010」だ。
このイベントは今回が初開催となる。参加者は全国から集まった44人の学生。4つのチームに分かれ、チームごとに来年度の国家予算案を作っていく。2泊3日の合宿をしながら1つの国家予算を作成し、最終日に完成した予算案をプレゼン。一般の傍聴人による投票によって優勝を決める。
プレゼンは永田町の星陵会館で行われた。鈴木寛議員文部科学副大臣や松下政経塾塾頭である古山和宏氏らが見守る中、各チームは自らの理想とする国家像と、実現のための政策・指針を発表していく。「年金の廃止と新制度の導入」や「国債の発行停止」、「海外戦略省設置」、「大学授業料の無償化」など、若者だからこそ言える、少し奇抜だが夢のある政策が多く飛び出した。
優勝は「科学立国日本」をテーマに掲げ、中小企業支援やベンチャー企業支援に力を入れたチームA。
チームAの一員である熊谷有佳子さん(法4)は、未来国会に参加した感想をこう語る。「予算1つを考えるのでも多くの省庁が絡んでいること、予算が不透明なことが分かりました。今後予算について考える上で、新たに国のあり方を考える契機になりました」。
優勝チームの決定後にはゲストからの講評も行われた。鈴木副大臣は「このイベントを通じて、『確かに正論だけど、それって無理だよね』と言われるようなものを見つけ、言い続けて欲しい」と述べた。古山氏は「どんな突拍子もないことでもいいから、もっと夢を語って欲しい」と話した。
未来国会の企画担当であるNPO法人ドットジェイピーの杉本真希さん(政4)は、「大学生は大人と違ってしがらみがない。だからこそ、大人の代わりに言えることもある。参加者がこうなって欲しいと思う将来を自分で考えて決めて欲しい」と強調する。
同じく企画担当の泉隆一朗さん(経2)は、「学生がどういう国家像を持っているのか、というのはなかなか発信しづらい。それを予算案として出すことにインパクトがある。今回学生が意見を出すことに、議員やマスコミなど社会が関心を示してくれた」と語った。
国家予算を作ることは、国の全体像を見ることに繋がる、と語る泉さん。学生が国を理解し発信していくことで、社会が変わっていくかもしれない。 (大竹純平)