慶大は、第47回全国大学選手権の初戦、近大戦に圧勝する。しかし、2回戦では帝京大が誇るFW戦、慶大自慢のBK戦でともに劣勢となり完敗した。4年生が入学した時から指揮をとる林雅人監督が、選手とともに作り上げてきたラグビー。今季限りで勇退となる監督は有終の美を飾ることができなかった。
(井上史隆・塚本雅章)
1回戦 高島の活躍で初戦を突破
【慶大43―7近大】
慶大はWTB児玉(環1)の先制トライをはじめとして計6トライを重ね、43―7で順当に初戦を突破した。
この試合、初めて黒黄ジャージの10番を着たSO高島(商4)。持ち味のパスワークで慶大BK陣を自在に操り、CTB竹本(環4)、FB小川(環3)らのトライをアシストした。
高島自身も後半25分にトライを奪い、1トライ、5ゴール、1ペナルティーゴールの計18得点の活躍でチームの勝利に貢献した。
また、10月の立大戦以来、肩の怪我で戦列を離れていたHO金子(総4)が後半途中出場で復帰を果たした。出場時間は5分と短かったものの、安定したスクラムで慶大FWを牽引していた。
2回戦 攻守共に崩壊 呆気なく敗戦
【慶大7―38帝京大】
冬晴れの寒空の下、第111代は正月を越えることなくシーズンを終えた。
準々決勝で慶大の前に立ちはだかったのは、大学選手権のディフェンディングチャンピオンである帝京大。3週間前に行われた関東大学対抗戦Aの最終節では35―20で下した相手だったが、この日はFW、BKともに翻弄され7―38と完敗を喫した。
「対抗戦はチャレンジ。選手権は勝負にこだわる」。帝京大の岩出監督の言葉どおり選手権に照準を合わせた帝京大は、3週間前とは異なる前線からのディフェンスと接点での激しさで、終始ペースを握る。
試合開始3分に慶大の反則が重なり、帝京大に認定トライを許すと、15分と32分にもトライを決められ0―23とされる。
「2トライ以内に抑える」というのがいつもの慶大ラグビーだが、前半だけで3トライを決められた。「予定外だったのは慶大のプレーだった」とブレイクダウンでの劣勢を嘆いた慶大の林監督の言葉には、自身が指揮をとる最後の試合で敗れた悔しさがにじんだ。
前半終了間際のLO村田(環4)のトライで反撃の糸口を掴んだかに見えた慶大だったが、課題のFW戦で押され続け、後半も3トライを献上。帝京大にリベンジを果たされた。
竹本主将(環4)は「これまでやってきた慶大ラグビーは正しいと信じている」と4年間で林監督と作り上げてきたスタイルへの誇りを口にする一方、「後悔しか残っていない」ともこぼした。「結果に対しての後悔だが、試合に限らずまだまだやれたんじゃないかという気持ちがある」。
竹本組が始動した時に「勝つことがすべて」と意気込みを語っていた竹本。彼が最も手にしたかった「結果」は第112代へと託された。