就職氷河期と叫ばれて数年が経ている。もはや、氷河期が常態化しているとも考えられる。
 今期も冬の到来と共に本エントリーの受付が続々と始まり、早い企業では選考が開始されている。今期の就職活動もいよいよ本格化し始めた。
 就職活動の早期化、長期化、ビジネス化を問題視する声も存在する。しかし、世の中でどう論じられようとも、当の就活生は目の前の関門を突破していくしかないのだ。
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 先日、過去最低の内定率と報じられた来春卒業生。就活体験談を伺った。
 「足を使って、積極的に動いた」。そう話すのは、マスコミ業界に内定した男子学生。「人生でもこの時期しか様々な会社は見られない。そして、自分と向き合ういい機会になった」と語る。
 OB・OGの人にES(エントリーシート)の添削を依頼したり、SPIや英語などの筆記試験対策をしたり、準備は念入りにしたようだ。しかし、「視野が狭かったために、業界に対する自分の向き不向きを見極めるのが遅かった」という反省点も。
 モチベーションを保つために、自分の時間も大切にしつつ、できるだけ毎日就活関連のイベントを意識的予定に組み込んでいたようだ。
 「『お祈りメール』(不合格通知)が来てもそこで諦めないこと。祈り返してやるくらいの気概で乗り切ってほしい」
 商社に内定した女子学生。周囲は意識が高く、就活への動きが早かったが、「最初は焦りましたが、就活は想像以上に長期戦。マイペースであることをテーマにした」という。
 氷河期の風は周りにも吹いており、「特に本気で仕事をしたい女子学生には風当たりが強い」と感じたそうだ。彼女自身も悔しい思いを幾度も経験。しかし、違う業界を志望している友人や身近な家族に話を聞いてもらって、気分を入れ替えていた。
 積極的にOB・OG訪問を行い、理想の社会人像を自分なりに描いた。「今までも、もしかしたらこれからも覗くことのできない世界を垣間見られて、今考えると貴重な経験だった」
 自身や友人らの就活を顧みて、笑顔とメンタルの強さが大切だと話す。「はったりの気合でもいい。『できる』と自己暗示をかけて、明るい表情のまま過ごしてほしい」
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 10月から11月にかけて三田キャンパスで行われた業界講演会。主催した全塾ゼミナール委員会の野中敬祐さん(法3)に、今年の業界講演会を通しての感想を伺った。
 「来場者数は約8600人。昨年より相当数増加しました」というように、例年よりも積極的な参加が見られた。塾生の就活に対する意識の高さも反映された数字であると考えられる。
 人気が高かったのは総合商社。600人近くの塾生が足を運んだという。
 しかし、「全体では増えたものの、業界によって参加人数に大きな差が見られた」と話す。講演をして頂いた人事担当の方々からも「興味があるなしに関わらず、こんなに多くの業界について知れるのは今の時期だけ。視野を広げてほしい」といった声が聞かれたそうだ。
 数多くの説明会やセミナーが行われているが、「就活は社会を生きていくうえでの知見を深める機会にもなると思います」と話してくれた。就職が人生のゴールとは限らない。
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 大量の情報が溢れ、いつでもどこからでも手の平に乗せた機械から得ることができるようになっている。しかし、最終的には人事という「人」に自分という「人」を見てもらう活動に変わりはない。
 焦ることなく自分自身のスタンスで臨み、受験ではないが、全ての就活生に寒い中でもサクラ咲くことを切に願う。
        (入澤綾子)