環境問題に興味がある、でも具体的にどう行動すればいいのかわからない。そんな状況の学生は、たくさんいるだろう。World
Wide Minamata 代表の堀井穂子さん(法2)も、かつてはその悩みを抱えていた。自分には何が出来るのか、どう行動すべきなのか。そんな堀井さんのきっかけとなったのは、「日本人としてやらねばならない」という意識だった。
「水俣病」と聞いて、まず何が思い浮かぶだろうか。高度経済成長期、八代湾、水銀汚染、公害。最初はその程度の知識しかなかった堀井さんが、水俣病について深く興味を持つきっかけとなったのは、環境問題を取り上げた大学の授業での、水俣病に関するプレゼンテーションだった。苦しむ患者の姿、水銀中毒の苦しさから、自ら水へと飛び込む猫。現在も世界中で広がる水銀汚染。衝撃的な写真や映像に、「知らず知らずのうちに、涙が流れてました。」と彼女は言う。
水俣病という病気に衝撃を受けつつも、自分には何が出来るのか、どう行動すべきなのだろうか。そんな思いを抱える堀井さんに、NPO法人水俣フォーラムとの出会いという転機が訪れた。
水俣フォーラムは、主に国内に向けて、水俣病の恐ろしさを風化させることなく、伝えていく活動を行う団体。折りしも今年春、6
週間のインドネシアへのインターンが決まり、堀井さんは水俣病という過ちから学んだことを、世界に伝えていくべきではないか、それこそ、日本人として自分がすべきことなのではないかと考えた。水銀汚染が深刻な問題となりつつあるインドネシアで、水俣病について伝えたい。その一心で、団体と話し合いを重ね、協力の下、インドネシアでの水俣病イベント、続いて今年9月には明治大学での水俣展を成功させた。
堀井さんは、インドネシアでのイベント後の手応えとして、水俣病の持つ強いメッセージ性の可能性を感じWorld Wide Minamata を、将来のNPO 法人化も視野に入れながら、帰国後の今夏立ち上げた。海外へ出発する大学生に水俣病のポスターを渡し、伝道師(ミッショナリー)として各国に貼ってもらう活動を計画中だ。
10月29日には、AIESEC主催「日本人だからこそできる国際協力」というテーマで、パネリスト参加。現在は12月19日にJICA 地球ひろば開催される、団体のPRイベント開催に向け、準備に奔走する毎日を送っている。
「まずは知ること。そうすれば、自ずと行動に移ることができるはず」そう話す彼女のように、アンテナを張っていれば、きっと身
近なところにあるきっかけに気づけるだろう。そして例え些細なことでも、主体的に行動する。そんな勇気を持つことが大切なのかもしれない。
(橋爪奈津実)