慶大東アジア研究所シンポジウム「躍動するアジアと日本の挑戦」が先月14日、三田キャンパスで開催された。
本シンポジウムはJICA研究所後援。躍進するアジアに対し日本がとるべき政策、同盟国アメリカとの関係のあり方などについて考えることをテーマとしている。
基調講演ではJICA理事長の緒方貞子氏が登壇。東アジア政治研究の第一人者であるカリフォルニア大学バークレー校名誉教授、ロバート・A・スカラピーノ氏の研究成果を挙げながら講演した。
同氏のもとで助手をしながら国際関係学を学んだ学生時代の話に始まり、中国や韓国をはじめとするアジア各国の著しい経済成長、その裏にある国家間・国民間の格差などの問題について話し、格差拡大という問題は常に一番注目しなければならないと主張した。そのうえで、新興諸国の政府をライバルではなく仲間として捉え提携するなど、国家を超えた人々の安全・福祉という概念の重要性を説明した。
講演の中で緒方氏は「日本はこれからどこに向かうのか。これは私たち皆が考えなければならない問題。皆さんも情報を集め、好奇心や探究心を持って勉強してほしい」と呼びかけた。
講演の後、国際関係史やアジア研究の専門家である大学教授やJICA研究所員など6人によるパネル・ディスカッションが行われた。
登壇者は、アメリカと中国の関係やインドの台頭、北朝鮮の核問題など、シンポジウムのテーマに関する様々な話題を展開し、それに対する政策やアジア各国との相互依存の必要性などを議論した。その中で緒方氏も「自分以外の、自分と異なるものや弱いものにも目を向けられるワイズ(wise)な国民が求められる」と意見を述べた。
質疑応答では聴衆が次々と手を挙げ、これからの大学教育に求められるもの、各国との協調のあり方などを質問。緒方氏や登壇者が返答した。