
今回から広報書評企画と題して我々読者広報局の局員がぜひ手にとって見てほしいと!と思う本を僭越ながら紹介していく。
ということで今回紹介するのは日本人作家 高田大介による2010年メフィスト賞受賞作『図書館の魔女』(2013年)。
分野としてはファンタジー小説になるだろうか。特に言語について興味のあるそこのあなた、後悔はさせない。ぜひ一読し、この作品のこれからに追ろう!
物語の舞台となる世界は筆者によって独自に創り上げられた世界であり、鍛冶の里に育った一人の少年キリヒトと、図書館に暮らし、話せないながらもその圧倒的な知識をもって世界から恐れられる少女マツリカを中心に話は進む。少年が少女のお付となるために図書館を訪れるところから物語は始まり、図書館がもつ圧倒的な権威のために彼女らは複雑怪奇な政情に巻き込まれていく。そんな環境下で二人が出会った意味は何だったのかが明かされていく物語だ。
周囲より優れた策謀を行える少女を人々は恐れ敬う。今のように誰でも簡単に知識を得ることのできない世界観のなかで、他人と異なることでの弊害が描き出される。大学という恵まれた環境下で学べる我々は、知識というものをもっと丁重に扱うべきであると感じさせられる。学習し知識を増やすことがいかに人にとって重要かを、今一度考えるべきであろうと思うのだ。
また言葉をしゃべることができない少女・マツリカの姿を通して、いかに伝え方が意思疎通において重要であるかを気づかせてくれる。物語のなかで新たな言葉を生む過程が描かれており、現実においてあまた存在する言語に神秘を感じずにはいられない。生まれる言語もあれば滅ぶ言語もあり、いま我々の話す言語もこの先滅ぶのかもしれない。私はその時代を表す媒体の一つが言語だと考えるからこそ、言葉は大切にすべきであると感じた。
言語学者でもある著者が描く世界観に触れることで、この先の展開が気になるというワクワク感を得られるのと同時に、言葉と知識について何かしら考えさせられるはずだ。大学で何を学ぶのか、知識を専門的に深めていく一歩手前にいるあなたが突き進むきっかけにもなってくれるのではないだろうか。
次回の広報書評企画は3/6 20時投稿予定! →2025広報書評企画 第二弾
(足田悠斗)