インカレ出場(4位以内)を目指し関東大学サッカーリーグ戦を戦う慶大ソッカー部は窮地に立たされた。慶大は一貫してポゼッションサッカーを貫いている。首位明大相手にも慶大の示すサッカーは通用した。しかし、ボールを保持しても相手の脅威になるプレーは少ない。また、失点後の対応の悪さが目立つなど課題が山積みとなった。
(丸山康平・平島海)
◇駒大戦スタイル貫き強豪に快勝【慶大3―1駒大】
背水の陣で総理大臣杯覇者の駒大に挑んだ慶大。「自分たちのサッカーを貫いたことが勝因」(李監督)という言葉通り、狙い通りのパスサッカーを展開し快勝した。
フィジカルで劣る慶大は試合序盤から苦戦を強いられる。しかし、MF日高(総3)やMF大塚(総3)が中心となり李監督の目指す「中盤を中心にボールを運ぶサッカー」を展開すると、ペースは慶大に傾く。前半20分、流れるようなパス回しからDF黄(総3)のセンタリングをMF藤田(政2)がゴールへ流し込み、先取点を奪う。
後半になると、前線から積極的なプレスを掛けてきた相手にPKを献上し、同点に追いつかれる。それでも後半39分、途中出場のMF山浦(商2)のクロスに黄が合わせ勝ち越しに成功する。後半ロスタイムにはカウンターからダメ押し点を奪い勝利を決定づけた。
◇早大戦2試合連続の3得点で快勝【慶大3―0早大】
早慶戦ということ以上にインカレ出場に望みを繋ぐため、絶対に負けられない一戦に快勝。今季の早大戦は3戦3勝と格の違いを見せつけた。
序盤から慶大はパスを回して早大を崩そうと試みるが、不用意なパスミスが目立ち幾度もピンチを招く。その悪い空気を打ち破ったのは「練習通り」(FW河井・政3)のセットプレーだった。17分、ショートコーナーからMF日高のクロスにDF笠松(総3)が右足で合わせてゴールを奪う。得点後、慶大は本来の姿を取り戻し早大を圧倒していく。後半は膠着した状態が続くも、慶大は落ち着いたパス回しで早大にペースを掴ませない。26分に左サイドを崩しDF黄のクロスをMF加美(環4)が落ち着いてゴールへ流し込む。ロスタイムにもMF山浦がミドルシュートを決め、勝利を決定付けた。
◇明大戦パスサッカー貫ききれず【慶大1―5明大】
三上主将(政4)の「実力の差」という言葉が示す通り、リーグ戦首位を独走する明大に試合巧者たるものを見せつけられ、1―5の大敗を喫した。
慶大は2連勝中の勢いそのままに、華麗なパスサッカーで明大を翻弄する。しかし、「ゴール前での工夫がなく」(李監督)ゴールを脅かせない時間が続き、明大にFKで先取点を奪われる。明大はFK(得点)とPK(失敗)を含めシュート3本で1点、一方の慶大はシュート6本も無得点で前半を終える。
「(後半立ち上がりが)全て」(三上)だった。開始3分でカウンターとCKから失点し、8分には「致命的」(笠松)な4点目を奪われる。失点後、完全に主導権を明大に握られ、慶大は本来のパスサッカーを取り戻せないまま、試合終了のホイッスルが鳴り響いた。
◇中大戦10人を相手にリード守れず【慶大2―2中大】
皆が口を揃えて「前半は良かった」と言う。2点リードして迎えた後半に1人少ない中大に同点とされ後味の悪い試合となった。
前半を通じて慶大はボールを支配し試合を優位に進める。前半20分、敵陣でボールを奪うとサイドを突破したFW深澤(理4)のセンタリングにMF加美が合わせ先取点を奪う。
後半、中大に押し込まれる場面が目立ち始める。しかし、後半16分、FW河井からのパスをフリーの加美がゴールに突き刺す。慶大は息を吹き返したかに見えたが、29分にPKを献上し失点。落ち着きをなくし「受け身」(河井)になった慶大は主導権を完全に失い、37分にはミスから同点ゴールを奪われた。
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首位相手にも自分たちのサッカーを貫いた慶大。しかし、パスを何本繋いでもゴールに関係しなければ価値はない。一方、明大は1回のセットプレーで流れを変えられる。それが1位と8位の差なのかもしれない。