今回取材したのは、「面白法人カヤック」。環境情報学部の3期だった柳澤大輔さん、貝畑政徳さん、久場智喜さん(02年卒)が起業した会社だ。
カヤックは、オリジナルウェブサービスの開発や運営、企業からの依頼によるウェブ制作を行う、設立12年目の「技術の会社」。最近では、音声専門のコミュニティーサイト「こえ部」の運営、iPhoneアプリの制作などを手掛けている。
グッドデザイン賞を受賞したことがある鎌倉本社オフィス内には畳や、縁側をイメージしたデスク、掘りごたつ式の会議スペースがあり、和の雰囲気が漂っている。そんなカヤックの代表取締役である柳澤さんにお話を伺った。
「つくる人を増やす」。これがカヤックの経営理念だ。「世の中につくる人を一人でも増やすことで、社会に貢献し、カヤック自身も幸せになっていく」と語り、また『何をするか』より『誰とするか』、人そのものを大切にしている。
カヤックには他社にはないユニークな制度がある。
その一つが「サイコロ給」だ。毎月、社員全員が給料日前にサイコロを振る。サイコロの出目%×月給が給料に加算にされる。人からの評価に一喜一憂するよりも、仕事にはもっと楽しいことがある、というメッセージが込められている。
そしてIT業界ならではの強みを生かした仕組みである「旅する支社」。ネット環境が整う場所なら、どこでも仕事ができる。行きたい海外に一時的に事務所を借り、臨時の支社を設立するというものだ。
独創的なアイディアで人々を驚かす仕事をするカヤックだが、アイディアを生みだす秘訣はあるのだろうか。「発想を鍛えるために頻繁にブレインストーミングをする」と柳澤さんは語る。その際、どんな意見でも絶対に否定はしないという。つまらないと思われたアイディアの組み合わせから、あっと驚くようなアイディアが生まれることもあるからだ。
「今後は、カヤックをよりグローバルな企業にしていきたい」と柳澤さんは語る。「ものを作るという純粋なことで、人を驚かしたり、楽しませたりできる、そんなクリエイターの集団になりたい」。
最後に起業を考えている学生へのアドバイスを伺うと「どんな時間も過ごし方次第で有益となる。24時間遊び24時間働くというキーワードがカヤックにはあるが、遊びも学びも大切に、切り替えを学ぼう」と語ってくれた。
(工藤玲奈)