クリスマスが過ぎ去り、新年を迎え、気持ち新たにしている塾生も多い時期だろうか。しかし、クリスマスが終ったからといって安心してはいられない。2月14日はバレンタインデー。SNSでキラキラ大学生ばかり目にするようになった現代、まだ油断することは許されない。そんな中、2017年に書かれたある記事を見つけた。(【こち三田】塾生注目!!「銀杏伝説」を制せ part1 | 慶應塾生新聞)
毎年11月ごろ、塾生たちの話題になる銀杏並木伝説に関する記事である。銀杏並木伝説とは「1年生の冬、銀杏が全て散るまでに恋人ができないと在学中に恋人ができることはない」という伝説である。
冬休みを経てこんな伝説のことをすっかり忘れてしまっていた方も多いだろうが、今回約7年ぶりに調査してみた。
今回の調査はアンケート形式で行った。その結果、塾生新聞会の会員を中心とした52人から回答を得ることができ、うち7割以上を1年生と2年生が占めた。これが慶應生全体の傾向を表しているかは不明だが、ネタ程度の見方で本音と伝説の実際を見ていきたい。
まず「銀杏並木伝説を知っているか」という質問に対しては、全体の86.5%が「知っている」と回答した。したがって、この伝説は慶應生の中ではかなり広く知られているものと思われる。
さらにこの伝説を「知っている」と回答した人に「どこで知ったのか」を尋ねた。「友人から」が46.7%で最も多く、「SNS・インターネットから」が33.3%、「先輩・後輩から」が15.6%であった。どうやら友人間で噂として共有されているだけでなく、SNSなどでもこうした情報が出回っているようである。
そして「銀杏並木伝説を信じているか」という質問には、「どちらかといえば信じていない」が42.2%、「信じていない」が37.8%となり、信じていないよりの回答が8割にのぼった。前回の調査でも信じていない人の割合が半数以上に達したことを考えると、相変わらず信憑性がないと考えている人の数は多く、むしろ増えていると言ってもいいかもしれない。
「信じている」と回答した人の理由としては、「1年が最も大学生活の中で出会いが多いと思うから」などがあった。1年生は入学から授業やサークルなどで人と接する機会が一気に増えるため、自ずとチャンスも増えるということだろう。
「信じていない」と回答した人の理由については、「根拠がないから」「荒唐無稽なため」「由来を知らないから」「迷信のように思えるから」「無神論者だから」などが挙がった。信じるに足る十分な根拠がないという見解が大多数を占めた。
さらに、「散った後に恋人ができた友人がいるため」「(自分が)できたから」「2年生で初めて彼氏ができたから」など、実際に経験を交えた反例を出した人も多くいた。特に「2年の12月に急にいい感じの人に出会った」「2年生の後半で彼氏ができた」「2年生以降周りにカップルが増えた」というように、2年生で恋人ができた人が複数いたことは興味深い事実である。「1年の冬までに恋人ができる可能性は低すぎる」「1年の冬ではまだコミュニティが少なく、あまり交流を持っていない」という冷静な分析も見られたが、こうした1年生特有の環境が影響しているのかもしれない。1年生の冬までというのは、恋愛関係まで親交を深めるには短いということなのだろうか。
一方「信じていないし信じたくない」「非常に危機感を持っている」といった意見や、「慶應生以外に適用されないならまだ可能性はある」「文学部以外は猶予が2年ある」という伝説の抜け穴を突いた意見、「木に接着剤で葉をすべてくっつけるべき」「友人に焦燥感を植え付けるのに都合よく使わせていただいております」というかなり攻撃的な意見もあった。
話によると東大など他の大学にも同じような言い伝えがあるらしく、どこの学生でも気にすることは変わらないそうだ。この伝説を信じないと言いながらもどこか頭の隅に残ってしまう、そんな銀杏並木伝説を最初に言い始めたのは一体どこの誰なのか、気になって仕方ない。