11月5日にアメリカ大統領選挙が行われ、トランプ大統領が132年ぶりに退任後に再選を果たし、大統領へ返り咲くことが決まった。そこで、「大統領選挙」をテーマにアメリカ大統領選挙のあり方やアメリカ大統領選挙が国内外に及ぼす影響について、全3回を使って明らかにする。
1回目はどのような過程を経て大統領が選出されるのか、アメリカ大統領選挙の仕組みについてまとめる。
アメリカ大統領選挙では、主に2つの過程を経て大統領が選出される。
党内で候補者を決めるまで
1段階目は、党内(民主党と共和党)において、候補者を決める工程である。
党内で候補者を決める手続きは本選挙が行われる年の1月から8月にかけて行われる。
共和党と民主党では、まず「予備選挙」や「党員集会」を経て、州ごとに大統領候補者を決める。「予備選挙」とは、党員(民主党または共和党に入党申請を行い、認められた一般市民のこと)らが無記名で支持した候補者に投票し、候補者を決めるやり方である。
また、「党員集会」とは、党員が議論を通じて候補者を絞り込むやり方である。
候補者を「予備選挙」や「党員集会」で選ぶかは、州ごとに異なっている。(正確には、「予備選挙」や「党員集会」を通じてどの大統領候補者を支持するか表明している代議士を選出する。)
特に、3月5日には、多くの州で両党の予備選挙が多くの州で実施され、「スーパーチュースデー」と呼ばれている。
そして、「予備選挙」や「党員集会」の結果を受けて、7月から8月にかけて実施される「全国党大会」においてそれぞれの州で選出された代議士が投票を行い、党の大統領候補を正式に決定することになる。
本選挙で勝者が決まるまで
2段階目は党(民主党と共和党)で選出された候補者同士が争い、大統領を決める「本選挙」である。
「本選挙」では有権者がそれぞれ民主党or共和党の候補者を支持することを表明している「大統領選挙人」に投票をする。「選挙人」は各州の人口に応じて州ごとに選挙人の人数が決まっており、殆どの州で総得票数の過半数を得た大統領候補者が州の「選挙人」を総取りすることになっている。例えば、カリフォルニア州は人口3897万で選挙人は54人であり、アリゾナ州は人口740万人で選挙人は11人である。
現在の選挙人は全米で538人おり、過半数を取った候補者が当選となる。
選挙人制度では、総得票数の過半数を得た大統領候補者が「選挙人」を総取りするため、死票(落選候補者に投じられた票のこと)が多いことや、票数が拮抗する激戦州が勝利を左右するなどの弊害も指摘されている。
実際に、2016年の選挙ではヒラリー・クリントン氏が得票数ではトランプ氏を上回っていたが、獲得選挙人の数では負けたため、トランプ氏が勝利した。
次回は、アメリカ大統領選挙を通じてアメリカがどのように変化してきているのかについて専門家へのインタビューを掲載予定だ。