慶應義塾で2022年度から始まった「塾生会議」。慶應義塾大学が主管する自然科学研究教育センターのプロジェクトで、全学部から選抜された塾生が、専門家からアドバイスを受けながら議論を重ね、SDGsを実現するための慶應義塾のビジョン・目標・ターゲットを提言し、採択された提言は大学からの支援を受け、実施されるという取り組みだ。既に様々な提言が実行に移されている中で12月から新たに実行される提言がある。それが「コンタクトブリスター回収プロジェクト」だ。本プロジェクトを運営する山口幸輝さん(経・3)、和田敏文さん(文・2)、余心越さん(経・2)に話を聞いた。

 

「コンタクトブリスター回収プロジェクト」の概要

 本プロジェクトの概要は、慶應の全キャンパスにコンタクトレンズの空のケース(以下ブリスター)の回収ボックスを設置し、そこで回収したブリスターを企業に送付し、再利用に繋げるというものだ。12月より順次、回収が開始される。回収方法は2通りの方法が用意される。1つは常時設置されるボックスによる回収。もう1つは回収イベントでの回収。常時設置の回収ボックスは日吉キャンパスに試験的に導入され、その後、他のキャンパスにも展開される予定だ。日吉キャンパス内の回収ボックスは、独立館1階・第4校舎2階の廊下・協生館2階学生部・来往舎のウォーターサーバーの隣・塾生会館の計5か所に設置される。また、初回のブリスター回収イベントは2025年1月8日(水)・9日(木)に日吉キャンパス塾生会館の前で開催される。このイベントでは、ブリスターの寄付数に応じて生協のグッズが当たるというインセンティブが用意される。インセンティブの内容には慶應パーカー等が予定されている。

 

プロジェクト立案の経緯と目的

 本プロジェクトは、リサイクルの幅を広げたいという考えから立案された。塾生会議での議論を経て、現在リサイクル対象となっているものの種類の少なさに対して疑問を抱き、コストを抑えつつ新たに回収可能なアイテムがないか模索したという。その過程でコンタクトレンズ会社「SEED」と協力関係を築くことができたため、ブリスター回収がプロジェクトのテーマとなった。また、本プロジェクトの狙いは、慶應義塾内でリサイクルを促進し、塾生をSDGs貢献に主体的に参加させること、塾生のSDGsに対する意識を高めることだそうだ。

ブリスター回収による環境問題への貢献

 ブリスター回収は、プラスチックゴミの削減と塾生の意識改革という2つの点で環境問題への貢献を目指している。プラスチックゴミ削減でこれまで重視されてきたのはペットボトルゴミ。ブリスターを回収することで、従来削減することを重視されていなかったプラスチックゴミの再利用を促進させることができる。本プロジェクトで回収されたブリスターはSEEDを経由してプラスチック製の物流パレットへと生まれ変わるそうだ。また、本プロジェクトではインセンティブによりブリスターを効率的に回収することが意図されている。これにより、今までSDGsへの関心が薄かった人々にも行動させることで、SDGs達成に寄与することのハードルは低いと感じてもらい、人々のSDGsに対する意識改革を促す。これらの取り組みは、SDGs目標の11「住み続けられるまちづくりを」、12「つくる責任つかう責任」、13「気候変動に具体的な対策を」、14「海の豊かさを守ろう」の達成に貢献すると期待される。

今後のビジョン

 本プロジェクトは塾生会議で採択されたプロジェクトのため、何十年先にも受け継がれる長期的なプロジェクトになることが見込まれている。今後のビジョンについては、まずは本プロジェクトを慶應の全キャンパスに普及させることを目標に掲げている。慶應内に普及させた後は、回収対象をブリスター以外にも拡大し、リサイクル対象品を増加させる。そして、本プロジェクトを他大学にも広め、他大学と連携して本プロジェクトを運営することが最終的な目標だという。

 

塾生へのメッセージ「SDGsに貢献する一歩感じて」

最後に本プロジェクトを通して塾生に期待することについて語ってもらった。「まずはブリスター回収に協力してもらいたいです。やることは、ブリスターを大学に持ってきて、それを回収ボックスの中に入れるだけです。それがSDGs達成に貢献する第1歩だと思ってもらいたいです。また、プロジェクトの運営に興味が湧く人がいれば、是非チームに加わってもらい、一緒にやっていけたらと思っています。学部・学年は問わないので、やる気がある人をお待ちしています。」

気軽にSDGs達成に貢献できる本プロジェクト。まずは、年明けに開催されるブリスター回収イベントに足を運んでみてはいかがだろうか。

(成沢緑恋)