11月22日、第一校舎103教室にて創像工房 in front of.の公演が行われた。

当サークルには総勢150名以上が所属し、年間10本以上の公演を行っている。学内には複数の演劇サークルが存在するが、特にエンターテインメント性に力を入れているのが魅力だ。例年、三田祭の公演では脚本、演出、衣装、出演などのすべてを一年生が担う。今年は22日から24日の三日間、『幸福な踏切』と『パンがなければ。』の二作品が各日一度ずつ演じられた。

 

我々は『幸福な踏切』を観劇した。本作品では踏切に住む人間嫌いの「幽霊」と、少し変わった「女子高生」の友情が描かれる。踏切近くでの不思議な現象の噂を聞いた女子高生は、幽霊の仕業だろうと考える。そして、踏切で幽霊に出会い「私と、友達になってください!」と伝える。幽霊と一緒に踏み切りにいる「カラス」、すべてが見えている「雲」、幽霊を責めて追い込む男「地名(ちな)よしふみ」が登場する。幽霊はなぜ踏切に住んでいるのか、人間嫌いの幽霊が女子高生と友情を築くことはできるのか。幽霊が人間だったころの回想も交え、物語は進む。女子高生との会話を通して、少しずつ幽霊のわだかまりは取れていく。感動的なラストに、観客からの拍手は鳴りやまなかった。

 

教室は超満員となり、立ち見する観客もたくさんいた。個性的なキャラクターたちの軽快な掛け合いに、客席からは笑い声が聞こえた。回想シーンは照明や音楽を用いて表現されていた。ステージ上で衣装が変わる場面もあり、ストーリーだけでなく、視覚的な面白さも備えていた。

 

舞台終了後、企画責任者の川島さんに話を伺った。冒険的な脚本が二つ選ばれたのが今年の特徴だと聞いた。通常よりかなり制限された、教室での舞台だったため苦労も多かったという。彼女は「一年生38人だけでステージを作り上げるのがすごく大変でした。」とやり切った表情で語った。

 

一年生のみで作られたとは思えない見事な完成度の作品に魅了された。今後行われる全学年での公演も必見である。

 

松岡真帆高橋彩香