11月23日13時から15時まで三田キャンパス南校舎ホールにて、メディアコム主催企画、「ドラマ出前授業『アナ戦で考えるドラマの未来』」が行われた。
講演会の前半ではNHKのチーフディレクターである一木正恵さんが、「アナウンサーたちの戦争」のドラマの名場面を交えて話した。
一木さんはそのドラマの主人公のモデルとなった和田信賢アナウンサーの、客観的にニュースを読むのではなく、当事者に憑依して報道していく姿やアナウンサーの声の力が戦争に加担して行く様子を描いたドラマの演出について語った。さらに、演出に携わる前まではどこか戦争について傍観者の視点だったが、その作品に携わってからは伝える側としてどうしていくべきかを考えたという。
講演後半では、俳優・木戸大聖さんを迎えてトークショーが行われた。
「アナ戦」とも絡め、なぜドキュメンタリーやノンフィクションではなくドラマという形をとるかについて熱いトークが繰り広げられた。
木戸さんは、報道やドキュメンタリーの中には、編集や後付けのコメントによって、恣意的になっているものもあるのではないかと指摘する。一方ドラマでは、人間の惨めさや愚かさといった見せづらい部分をあえて見せることで、人間の真の姿に迫る可能性がある、と伝えた。
一木さんは「史実は曲げずに描く。しかしなぜそれが起きたのか、当時の人が何を思っていたかは本人にしか分からない」と実際の出来事をドラマにすることの難しさを話す。「日記や当時の記録を元に、本人にしか分からない部分は描く」と彼女は語った。
この講演会の企画の代表を務めた町田春乃さん(文3)は「メディアを学ぶ機会を与えられていない学生に対して、活躍されている一木さんと木戸さんの講演会を聴ける機会を無料で提供できたのは大変意義があったと思う。」と語った。
また、稲垣陽太郎さん(文3)は観客に向けて「日々のメディアへの接し方を考えて欲しい。それを学ぶための手段にメディアコムの選択を。」とメッセージを送った。