若手の心理学研究者を育成


文学部は、心理学および関連領域の若手研究者を育成する目的で印東太郎賞を制定した。10月2日には、三田キャンパスで第1回授賞式・受賞記念講演会が開催され、千葉大学院融合科学研究科助教授の溝上陽子氏が受賞。溝上氏は授賞式に続き、「視環境に適応する視覚・色覚メカニズム」という演題で講演を行った。
この賞は、世界的な数理心理学者として知られる慶大名誉教授、印東太郎博士の業績を顕彰することを目的に、心理学専攻の渡辺茂教授が中心となり制定。印東博士没後、遺言に基づき贈呈された慶大心理学研究室への寄付金を基金としている。
 授賞者は印東博士と関係が深かった日本色彩学会、日本基礎心理学会、日本行動計量学会、日本認知心理学会の推薦を受けた候補者の中から、選考委員会が決定した。
選考委員会長の渡辺茂文学部教授は、「各学会を跨いだ心理学の賞は、今までにあまり見受けられなかった。若手研究者の育成に寄与できるよう努力していきたい」と語った。
日本色彩学会から推薦を受けた溝上氏は、視環境における色分布の測定と、心理実験による視覚特性評価を結び付ける研究が評価された。これは、環境とそれに適応してきた視覚特性の関係を明らかにするもので、研究成果は人間の特性に適した画像・環境は技術に貢献することが期待されている。
溝上氏は授賞式で、「まさか私が受賞できるとは思っていなかった。今後も研究活動に邁進していきたい」と話した。