ゴールデンウィークが終わり、注意が必要なのが「五月病」である。環境の大きな変化になれないことで引き起きされる体調の悪化ややる気が出ない状態を指す。また、梅雨の時期は自律神経が乱れやすく、憂鬱な気分になる人もいるだろう。塾生の中にも授業に参加するのが億劫になったり、勉学に集中できなくなったりしている人はいないだろうか。今回は学生相談室でカウンセラーをしている髙橋翠里さんと中村麻里子さんに話を聞いた。
―こころの不調を乗り越えるコツは何ですか?
髙橋:まずは自分の状態に気づくことが必要です。何が原因となって、現在の状況が生まれているのか考えることから始めてみましょう。相談室ホームページにストレスケアの資料集も載せているのでそれも参考にしてみてください。
中村:ちょうど現在相談が増えている時期で、GWで生活リズムが崩れたまま、授業が始まって困っている人が多いと思います。以前と自分が違うことに気づいたら、我慢せずにストレスとの付き合い方を考えてほしいです。ストレスコーピング(ストレス対処方法)は人それぞれ違うので、自分に合う方法を見つけてみてください。様々な、そして気軽にできる方法の選択肢を持っておくことをおすすめします。
―相談室に来た学生に対して、どんな言葉をかけたり、解決策を提示したりしますか?
髙橋:まずはこれまでの背景を聴きます。お伺いする中で、相談する人自身で気づいたり、ストーリーが見えたりすることがあります。そこから何が今必要なのか、どうしたいのかを一緒に考えていきます。
中村:眠れない、生活リズムが崩れているなどの相談に対しては医療的なサポートが必要な場合もあり、保健管理センターや医療機関を紹介することもあります。
―どんな方に相談できるのですか?
2人:私たちカウンセラーは臨床心理士と公認心理師の二つの資格を持っています。臨床心理士は民間の資格で、取得するには指定の大学院を修了後、試験に合格する必要があります。公認心理師は国家資格で、2018年に第1回の試験がありました。資格ができたばかりの当時は一生懸命試験に向けて勉強しました。学生相談室には日吉と三田合わせて臨床心理士・公認心理師のカウンセラーが15人います。
―カウンセラーを志した理由やきっかけを教えてください。
髙橋:以前、知り合いがこころの病気を患って、話を聞いていたことがきっかけで、心理学に興味を持ち勉強をはじめました。
中村:高校生の時に河合隼雄先生の『無意識の構造』という本を読んだのがきっかけです。
―カウンセラーをしていてどんな時にやりがいを感じますか?
髙橋:その人が自分の人生と向き合って変わっていく、成長していく姿を近くで見せていだけるのが、この仕事の魅力だと思います。
中村:人が変わっていく姿にそばで立ち会わせていただけることです。その変化の過程ではさまざまなことが起こりますが、その人なりに道を探して生きていこうとする姿を見られるのは貴重なことですし、ありがたいと思っています。
―塾生へメッセージをお願いします。
2人:誰かに言いたいこと、どこに相談したらよいかわからないことなどちょっとしたことでも気軽に学生相談室に相談しに来てください。また、年に6回ほどイベントも開催しているので興味を持った方は参加してみてください。
(川口真奈)